研修医を終え、大学院生になっていた頃。

76歳のおばあちゃんに肺癌再発が見つかり、
余命数か月の宣告を受けた。

おばあちゃん子であった僕は、
彼女の身にこれから起こる『死』というものが、よくわからなかった。
いや、よくわかりたくなかったのかもしれない。

大学院の先生が、この大切な数か月、大学院には来なくていいから、
おばあちゃんの看病しておいでといわれ、
逆瀬川のおばあちゃんの家に泊まり込むことになった。

この介護生活の経験が、今の在宅医の仕事の原点である。

一番つらかったのは、
脳転移による認知症状の出現であった。
初孫の僕の顔がわからなかったり、わかったりを繰り返す。

たくさん可愛がってくれて、
とっても大事に育ててくれて、
いつもニコニコ穏やかだった祖母。

彼女の『死』を感じた瞬間であった。

祖母にとっても同様であったと思う。

眼に入れても痛くない初孫に
声を荒げてしまうことを
自分自身で気付いたり・・・
気付かなかったり・・・。

病気と向き合うことは
誰にとっても本当につらく悲しいものだと
医者3年目の僕は初めて感じた時でもあった。

おばあちゃんとの最期の数ヶ月の経験。
また、想い出して書いてみようと思う。