優しい気持ち

ご家族皆さんが、みんなに優しかった。

 

市中の病院を退院される時、

担当された地域連携室の看護師さんが、

最後の最後まで、心配をされていた。

あの奥さん大丈夫かしら。

先生方、頼みますね。

 

そう言われ、お付き合いが始まった。

 

蓋を開けてみると、

この奥さん、どんなに慌てん坊でも、

ご主人のことを優しく支える。

 

どんなに苦しくたって、

笑顔を絶やさない。

いつも笑っておられる。

 

けっこう電話も多かったが、

僕らはそれで、奥さんがよく分かる。

この奥さんなら、大丈夫。

いつも笑顔で、優しい奥さんだ。

なによりも、電話の中身は、

ご主人の笑顔についてだ。

あの人が笑っていられるように、

先生ちゃんと診てやってくださいね。

 

そんなお母さんを、

娘さんや息子さんは、上手に、

妻の役割があるように支える。

 

 

呼吸が止まる最期の時、

それが、理解できた。

 

 

家族が、お父さんを中心に、

本当に優しい。みんなに優しい。

 

お互いに、そして、

もちろん医療者の我々にも、

労いの言葉を掛け合うのだ。

 

奥さん、娘さん、息子さん、

お互いに、看護師さんも、先生も、

ありがとう、ありがとう、みんなよく看たわね。

なんの悔いもありません、やりきった気がします。

お父さんも、ほら笑ってるみたいでしょ。

そうみんながみんなに言う。

 

穏やかに眠るお父さんも、本当に優しいお顔だ。

 

こんなお看取りをご一緒させていただき

また、明日から頑張れる勇気をもらえた。

 

 

僕たちは、けっして、歩みを止めない。

この優しい気持ちを、力に変える。

 

トビさんありがとうございました。

ゆっくりお休みください。

 


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