歌と涙と家族再建

センセ、急にそんなんやるから、

涙が出てもウタやないかァァ。

 

 

今月100歳になられるが、最近は、

もうアカンわ、お迎え来たんちゃうやろか、

こんな弱気な言葉が増えておられた。

 

 

いろいろな喪失感で、

めっきり元気がなくなってこられた。

なぜだか、タナカとは相性が良く、

訪問診療時にはいつも満面の笑みで迎えてくれる。

 

 

どこかウチの祖父と似ておられる。

タナカに経済を教えてくれた祖父だ。

祖父は、息子には厳しく孫に優しかった。

 

いよいよが近かった祖父は

息子(伯父)と最期まで折り合いが悪かった。

そんなところも似ておられる。

 

だから、祖父の晩年の様子を思い出し、

いろいろな喪失感で寂しい晩年だったことを思い出し、

今日は、全力で、おっきな声で、100歳になろうとしている彼に

ハッピーバースデーを歌った。

 

そしたら、涙のおじいさん。

 

そして、帰りの縁側で、

息子さんが奥の部屋からでてきて、

センセ、ありがと、聴こえとったで。

と、深々と挨拶をされた。

 

なんとなく彼も涙目だった。

 

最期の時間、家族再建においてボクらの役割は、

やっぱり、無いようで、それでも、有るような気がする。

 

 

今日は、家族関係の再建において、

大切な役割があるんじゃないかって、

ちょっと自惚れながら、でも一方で、

身が引き締まる思いで、今日の訪問を終えた。

 

 

日々継続した、ウクレレハッピーバースデーの演奏が、

今日の訪問診療時の歌うたいにおいて

功を奏したのは言うまでもない。

 

おじいさん、ハッピーバースデー!!!

 

 

 

 

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