ゴメンで済んだらケイサツいらん。家で死んでもケイサツいらん。

嘘つきはアカンで。何事も謙虚で正直でいろ!と、

医療の世界に飛び込んだ頃、先輩によく言われた。

その時、幼い頃からよく言われた言葉が頭に浮かんだ。

ゴメンで済んだらケイサツいらん((笑))

 

 

そう言えば、昨晩旅立たれた方が、

先週自宅にお帰りになられた際、

僕にこんなことを尋ねられた。

 

「先生、私ね、ホントは家で死にたいの。

でも、家で死んじゃったら、

主人が私を殺したんじゃないかって、

警察の人に疑われるんじゃないかと心配で。

だから、その時が近いなら、

ホスピスに行って死にたいんやけど。」

 

こんなことをお尋ねになられた。

「大丈夫ですよ。僕とお付き合いが始まれば、

家で死んでも、ケイサツいらないですよ。

僕がちゃんと死亡診断書を書いておきます。

安心してお家の暮らしを楽しんで。」

 

そうお伝えすると、こう話された。

「先生、私本当にホッとしたわ。

主人に迷惑かからないなら、

お家で最期まで暮らしたい。

よろしくおねがいします。」

 

一週間の在宅診療期間と短かったが、

大切なご主人とのお二人の時間を満喫され、

最期まで、年上のご主人の負担がないように旅立たれた。

 

診断書を書いた後、帰りに、ご主人が、こう話された。

「先生、先生のとこの看護師さんに、

本当にお世話になりました。

ホットパックや肩揉みまで私も含めてしていただき、

私も安心して、妻を丁寧に送ってやることができました。

ありがとうございました。」

ホッとされたご主人のお顔は、満足げでもあった。

 

 

ゴメンで済んだらケイサツいらん。

家で死んでもケイサツいらん。

 

嘘つきはアカン、謙虚であろう。

 

そう教えてくれたような旅立ちだった。

 

 

 

 

 

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