彼の『PRIDE』を支えたい。

どうしても病を受け入れられず、

また、僕たちの力不足もあり、

苦しまれる患者さんがいる。

 

 

70歳の男性。肺がんのステージ4。

子供らを大きくした後、彼は一人で暮らしてきた。

掃除・洗濯・買い物・料理・近所付き合い等々、

なんでも自分一人でやって、その家を維持してきた。

 

先生な、あんたらそうやって来とるけどな、

それはそれで、ありがたい反面、気を使うし、

こっちは疲れるんやで。わしな、ホンマステージ4か?

こうやってな、あんたとも話せるやろ。

酸素吸っててもな、じっとしとったら外せるわけや。

そろそろアンタらに来てもらうのもやめよう思うとんねん。

だいたいな、ステージ4ちゃうんちゃうか!?

病院のな、あの医者、何も説明せんかったわ。

あんたもな、医者やったら、血液検査とか、

色々やって、ちゃんと調べてみてくれよ。

しかもな、アンタ、治されへんなら来んでええやろ。

それにしてもな、医者なんて、どいつもこいつも、、、、

 

一気にお話された後、呼吸を整えられるのに数分かかる。

その間、彼は僕の方を見るでもなく、必死に呼吸に集中する。

 

状態からは、いよいよのところに来ていることが推察される。

 

 

彼の口からは、未だ、それを話してはいただけないが、

一人で生きてこられた人生の『PRIDE』を感じずにはおれない。

 

彼の『PRIDE』を、最期まで支えたい。

 

どうすればいいか、、、答えはないんだが、、、

 

 

 

 

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