笑って泣いて歌って、花になれ。
足の具合どう?お母さん、痛い?大丈夫なん?
昨夜、土間にあるトイレでコケたらしく、
それからずっと、這うて暮らされているらしい。
便所もご飯も、そして、お風呂もホウて行きよるんや。
先生、いっぺん診たってえな、足か腰か、どこが痛いか、
よおわからんのや。歩かれへんみたいやわ。
お父さんからの電話で、往診すると、お母さんはいつものビニールハウスで、
いつもより少し傾きながら、そして、いつもより痛みのせいか、弱々しく、
こちらを見ると苦笑いで、よお来たな、大丈夫や、心配いらん。と話される。
一年前は、そばにも座らせてもらえなかった彼女が、
僕に膝をみせ、湿布貼ろうか?ときくと黙って患部を指さしたりする。
そおおっと、優しく、ゆっくりと、湿布を貼りながら、
患部の状態を確認していく。みせていただけた患部は大丈夫だ。
でも、反対の腰から股関節周囲がどうやら重症の様子。
動かないのをわかっておられるから、苦笑いで、
「昨日な、風呂な、入れたんやで、ちゃんとな、私な風呂入ったんやで。。。。」
お母さん、入院嫌か?痛いの治せるけど?
こう尋ねると、そっぽを向いて首を横に振る。
そばで見てるお父さんは不安そうにじっとやり取りを見ておられる。
お母さん、また来るから痛かったりしたら、ちゃんと言うんやで。
ビニールハウスを出る時に、お母さんが手招きして僕にこっそり耳打ちする。
「私は長ない、もう長ない。この人のこと、頼むな。
ワタシは長ない、頼むな。お願いな。頼むな。」
彼女は自身の痛みより一緒に暮らすお父さんのこれからを心配する。
医療は、一体何の役に立てるのだろう。。。。
医療を遠ざける方が、きっと家で大往生だ。。。。
日々の暮らしの中で、人はそれぞれ人のために花になる。
笑って泣いて歌って、花になれ。
良かったら聴いてください。
毎日読んでいただき感謝申し上げます。
良かったら、クリックもよろしくお願いします。
たなかホームケアクリニックYOUTUBEチャンネル登録よろしくお願いします。