別れなんかなくなってしまうところに行こう。バイバイ。

残念だけど、誰しもその時は近付いている。

 

素敵で、楽しくて、優しくて、

このまま時が止まればいいのにって、

何度も思うほどだったけど、、、

 

 

深夜、お電話が鳴る。

 

先生、アカン、息できへん、どないしよう、、

 

電話の向こうで、息苦しさと不安と、

必死に、孤独?に戦っておられる。

 

すぐ行くけど、頓服飲める?もう2本飲んどいて。

 

わかった、、わ、、かった、、

 

高速の方が近道なので、高速に乗ったくらいに、

再度お電話をかける。もちろんハンズフリーで。

 

どう?

 

電話に出たのは、初めてお話するご主人コウジさん。

 

右脇腹が今度は痛いって。息は少しマシです。

 

もう10分で着くから、待っててね。

 

はい、お待ちしています。

 

身の置きどころのない苦しみの妻の傍で、

必死に、お身体を擦る彼が想像できた。

 

 

お家につくと、内服の再調整をして、症状緩和していく。

ご主人コウジさんは、甲斐甲斐しく、タオルやら、お水やら、

どうしていいかわからないけど、愛する大切な妻に、

どうにか、なんか、してやりたい、って感じで右往左往。

それでも、本当に一生懸命だ。

一つ一つゆっくりと、彼に指示を出していく。

男性介護者も、ちゃんと説明すれば、

こうやって、しっかりと踏ん張られる。

 

彼女はその彼の動きを耳だけで感じ取りながら、

少しずつ安心されていく。こんな緊急事態に、

一番肝心なことはお薬合わせなんかじゃない。

周りの大切な人人が、ご本人のこの状態に

しっかり向き合い、逃げず、落ち着くことが大切だ。

 

僕は、お薬合わせをしながらも、

彼女が大好きなご主人コウジさんを

支えることにも集中して、いろんな声掛けをする。

 

症状も落ち着き、家を出る時玄関で、ご主人に尋ねた。

 

コウジさん、お家で彼女、最期まで看てやったら、どうでしょう?

奥さんは、コウジさんに迷惑をかけたくないと仰ってましたけど。

 

 

男って、やっぱり、こう云う時こそ、

ちゃんと覚悟を決められるもんだ。

僕は男やから知っている。

 

先生、この時のためにもう仕事は

片付けてあるんです。大丈夫です。

今日からはずっと傍にいます。

アイツ、家に居らせてやってください。

 

さあ、僕らも本気だそう。

 

トモダチザイタクも、ご夫婦ザイタクも、

心底、美しい。そして、やっぱり、皆さんの手の中にある。

 

コウジさんといえばやっぱり玉置浩二。

良かったら聴いてください。

 

 

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