やっぱり家で好きなように暮らしたい!その思いを奥さんが叶えてあげました。
「家に帰る!」
昨日や今日のことを忘れたり分かりにくくなってきていたある日、食道がんと言われ入院。
「家に帰る!」
でも、奥さんは不安で不安で・・・最期の日まで家でみるのが怖いと話されました。
それでも、ご本人は煙草が一服できる家に帰りたいと。
その思いが叶えられました。
「家に帰ります!」と奥さん。
家に帰って来られた日、優しい笑顔がみれました。
「しんどうない、大丈夫や」
喉が通りにくく、食べることが難しくなっていました。
でも、ソーダアイスはお気に入り。いつも美味しそうに食べられました。
そして、窓を開けて、外を見ながら一服・・・
「しんどうない、大丈夫や」
奥さんはお仕事に行かれ、これまでのように過ごされました。
旅立ちの日は近づいていましたが、お二人の時間はいつもと変わりません。
家で過ごすって、普通に過ごすことなんだなと改めて感じました。
旅立ちの前日、アイスも食べられず煙草も吸われませんでした・・・
お父さんの息が苦しそうと連絡がありました。
お伺いするといつもの笑顔がなく、苦しそう・・・
息苦しさが少し落ち着いたとき、奥さんににっこり微笑まれ一言、
「大丈夫や、寝~や」
その数時間後、旅立たれました。
最期まで笑顔・・・
今も思い浮かぶ笑顔・・・
家で奥さんと過ごせてよかったね。
その笑顔、忘れないです。