開業して15年。14年前に、あと1ヶ月の命とのことで、
大病院からご紹介いただき、訪問診療を開始した方がいる。
当院の患者さんで、一番遠くの家で、
いつの間にやら一番長いお付き合いの方。
普段は当院の上田先生にお願いしてるのだが、
久しぶりに僕の訪問診療に上がっていたので、
嬉しくなって朝から長距離ドライブをした。
先生、ホンマ長い付き合いになってしもたな。
あん時は、ワシはオシッコの管もあって、
お通じも看護婦さんにしてもろて、そういや~
お風呂は先生と先生とこの男のヘルパーさんに、
風呂入れてもらってたなああ、命の恩人やわ。
前立腺がんで多発骨転移。退院時は下半身麻痺で車椅子生活は必須。
余命1ヶ月と宣告され涙ながらにお家に帰ってこられたのが14年前。
今と変わらず、『暮らし』を諦めない僕たちは、
排尿訓練や排便訓練。そして、入浴訓練。
尿バルーンを外し79歳のお父さんに
まずは自己導尿を覚えていただき、
排便訓練では、おむつ卒業を目指し、
ポータブルトイレからお家のトイレへと。
あの手この手をいろいろやって今がある。
詳しくはまたいつか話したい。
入浴は、あの頃は若かった((笑))僕と
クリニックの男性介護福祉士と一緒に、
お家のお風呂に拘って、全介助浴からスタート。
気持ちもアゲアゲでサイコロジカルヴィクトリー。
そんな14年が走馬灯のように蘇った今日の訪問診療。
お父さん、いくつ?93かあ、、100まで生きてくださいね。
いやいや、先生、ワシはもうなポテチンと行かせとくれ。
家族がそろそろ逝ってくれんと困る言うとりますさかいにな。
そんなこんなの楽しい会話をしながら、大笑い。
先生、変わらんなあ、もう14年ですかあ。
ワシもあの時はひと月で死ぬ言われたけど、
こうして生きとる。ありがとうございます。
そう言いながら、いつも出入りする縁側まで、
歩いて出てこられ、僕の帰りを見送ってくれた。
お家の力は素晴らしい。目の前で起こってることが全てです。
医療って、いったい何だろう。ホント不思議ですね。
あ、それと名言『リハビリテーションっていう生き方』が、
ここにあることをぜひ皆さまにお伝えしておきたい。
今日は自分の原点を再確認できて、とっても上機嫌です。
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