上に行くほど傾いた塔は安定はしない。

伯父が死んだ。望まない病院で。

お家に帰りたかった。そうだ。

 

 

従姉弟から今日訪問診療途中。

涙ながらに、お電話があった。

 

章ちゃん、30年ぶりやったのに、

いろいろ相談乗ってくれてたけど、

パパ、とうとうその時が来ちゃった。

今日、さっきやっとお家に帰ってこれたの。

生きてるうちにお家に帰ってこれなかったけど、、、

ありがとう。ほんとにありがとう。。(涙)

 

僕の親戚は、歯科業界。祖父の代から歯科医一族。

医療とは近い距離だと、傍からは思うかもだけど、

人生最終段階における医療とは遠く離れていて、

ぶっちゃけ、受け身でリビングウィルは叶わない。。。

 

 

歯科医だった伯父は、最期の時まで、

口からの食事を望んでいたそうだが、

誤嚥性肺炎があって最期は末梢点滴のみ。

口に関する仕事に邁進した50年。

最期は経口摂取禁止。リビングウィルと反する。

なんと皮肉なことだろう。。。。

 

歯科医だった祖父は、経口摂取中止で、老人病院で死に、

歯科医だった伯父も、リビングウィルが叶わず、老人病院で死に、

歯科医だった親父は、リビングウィルが叶わないと、

日々感じている医療を避けるために孤独死を選んだ。

 

 

 

 

従姉弟は伯父を自宅に連れて帰りたかった。

それも伯父のリビングウィルだったそうだ。

1ヶ月前電話で相談を受け在宅医療をご説明した。

従姉弟たちがあちらこちらに働きかけ、

伯父の在宅復帰が最期には叶うと思ってた。

 

しかし、現実は違っていた。

これを良しとするも、しないも、

主語は僕ではないので意見はないが、

もし、これが僕自身だったのなら、

やっぱり、嫌だ。

お家に帰りたかったんだから。

 

 

 

僕は、正直、場所なんてどこだって、良い。

 

ただただ願うのは、

患者さんご本人が、最後の最期くらいは、

リビングウィルを選べる社会であって欲しい。

 

 

 

伯父のご冥福をお祈りいたします。

安らかにお眠りください。

弟の親父によろしくお伝えください。

僕ら兄弟も、このままではない、と。

 

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

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