ここ数年、40代や50代、そして30代の方とのお別れが多くなってきました。
2人に一人ががんといわれる時代。
ご両親が子どもさんの介護をされることも珍しくなくなりました。
病気と向き合いながら、母に面倒をかけたくないからと、
ホスピスを希望されていた50代の男性。
とても物静かで穏やかな方でした。
その方が、最後の最後で、「家に帰ろうかな」と心の思いを話されました。
お母さんも不安そうでしたが、「息子が帰りたいなら」と退院を決められました。
限られた命の時間は、長くないことも承知の上で・・・。
お母さんの介護は、細やかで丁寧で、まさに「家」がぴったりの方でした。
家での生活は大変なこともありましたが、「大丈夫です」と前向きに過ごされていました。
旅立ちが近づいたとき、息子さんはもう話すことはできない状態でした。
でも、
最期のとき、息子さんはお母さんに最後のことばを伝えられました。
「ありがとう」と。
そして、にっこり微笑まれ・・・。
息子さんの「ありがとう」とその微笑みに、お母さんへの思いが感じられました。
先に亡くなったことは親不孝かもしれませんが、
お母さんに気持ちが伝えられたことは親孝行だと思います。
「最期にありがとうっていってくれたんです」とお母さんは何度も話され満足そうでした。
ありがとうの思い、伝わりましたね。