藍の龍のシャツを着て。

先生、なんだか虫の知らせだったのよ。

お父さんとね、淡路島よく行ってたの。

私、洋裁するでしょ。この龍のシャツ、

カッコいいでしょ⁈私とお揃いなんよ。

私が気に入ったこの藍の龍が昇ってる、

この生地で、お揃いのシャツを洋裁したの。

で、これを着てね、昔よく淡路島二人で、

旅行したし、今度の旅は、先に一人で、

行っちゃうやろうけど、私との想い出の、

この龍のシャツを着て行ってほしくて。

ここに掛けたら寝転びながらでも見れるかなあって。

ベッドの足元に、2、3日前からかけてみてたの。 

 

 

最期の最後が、不安で不安でどうしようもない。

そう初めての面談の時から仰っておられた奥様。

 

訪問看護師らと共に、ご主人との想い出を、

ご本人と一緒に振り返ることが出来た、

この大切な穏やかな半年間のザイタク。

 

この半年間は、とっても大切な時間となった。

不安でどうしようもなかった奥様の「不安です。」の

言葉とは裏腹に、ご主人の最後の旅支度をされておられた。

 

最期の診察に呼ばれ、駆けつけた早朝。

いつも通りに、心音を息子さんと聴き、

不思議なことに、遠方の娘さんも昨日、

お父さまに逢いに来られてて、そんなお話を聴きながら、

奥様が、ベッドの足元に掛けてある藍の龍のシャツの、

大切な想い出話をしてくれた。

その後、看護師らと一緒にお身体をきれいにして、

息子さんに髭を剃ってもらい、最後に奥様がシャツを。

愛(藍)の龍のシャツを着たお父さんは、素敵だった。

 

 

やはりザイタクはどこまでも、

ご本人さまとご家族のもの。

僕ら医療者は伴走者であり脇役。

僕ら医療者の為など、決してない。

 

患者の為の医療をこれからも提供したい。

そして、その為に、感性を磨き続けよう。

 

言葉の表現だけではないザイタクが、

そこには、必ずあるはずだから。

感じよう人間の素晴らしさを。

 

 

今日の愛の龍のシャツの旅立ちも、

多くのことを教えて頂けた。合掌。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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