『ザイタク』の幕が上がる

80歳手前で腎臓癌のターミナル期。

 

ガンの摘出手術を受けたのは3年前。

再発し、化学療法を続けてこられた。

 

先月、暑い日、畑仕事中、倒れられ入院。

肺に転移したガンが急速に増大傾向で、

いよいよの可能性も高まってきていた。

 

お家に帰るには今しかないとの病院のご判断もあり、

彼を愛する奥さまがやっぱりお家に連れて帰りたいと、

不安はあるけど、覚悟をもってザイタクを開始された。

 

遠方で暮らすお父さんが大好きな息子さんも、

仕事を少しお休みになられて駆け付けられた。

 

 

『ザイタク』の幕が上がる時、最初、

医療依存度のコントロールが必須だ。

 

今回の入院で開始になった尿カテーテルと在宅酸素療法。

そして、入院中の嚥下評価による食物形態の制限、

水分摂取はトロミが必要、食事は刻み、お粥で、等々。

 

退院された直後、週初めの月曜日、ご自宅で、

最初に取り組むのは、酸素療法のOFFを模索する。

医療用麻薬での症状緩和が上手くいくと、

呼吸状態も改善、呼吸困難感も随分軽減。

この時点で、酸素療法を一旦やめる目途が立った。

 

呼吸困難感の改善も図れたので、次は食事だ。

その中でも一番最初に調整してみたのは、

冷たい氷を浮かべた麦茶のストロー飲み。

全くのムセ無し、酸素飽和度も下がらず。

その日は、お昼に鰻と、夜に肉じゃが。

 

 

翌日の火曜日、尿カテーテル抜去をする。

オムツ内自尿も、その日に確認できたので、

排泄自立を念頭に、立ち上がり訓練を開始。

 

翌々日の水曜日、摂取食事量も、

オムツ内排尿も、安定してるので、

肝心の排便コントロールに取り掛かる。

 

この日はうちの訪問看護師による浣腸で、スッキリと。

その夕方、訪問入浴も開始して全身のリラックスも。

ご本人がリラックスしてると、ご家族も自然と緩む。

 

退院4日目木曜日

奥さまや息子さんのザイタク介護の状況を観察。

立位訓練も、息子さんと少し取り組んでくれている。

夜間のご様子を伺うと、医療用麻薬のレスキューの使い方も、

非常に上手いタイミングで使用できるようになってきた。

 

退院5日目金曜日、夜間のせん妄様症状が気になり始める。

ここで肝心なのは、そう、ご存知のサイコロジカルヴィクトリー

退院時に尿カテーテル、退院後はオムツを、使ってくれていた。

今日から、普通のブリーフのパンツに!!!これには、ご本人、

めっちゃ嬉しそうで、尿瓶とおチンチンの練習をすぐ始めてくれた。

 

 

そして、ここからが僕らの本領発揮です。

 

退院6日目土曜日の今日、

酸素のチューブやオシッコの管やオムツ、

彼の人生の自由を奪っていたこれら全部が、

取れたこのタイミングで、車椅子でご家族散歩。

 

彼らは暮らしを取り戻すことが出来た。

 

さあ、『ザイタク』の幕が上がった。

 

 

止まない拍手も 光の雨も

特別なものは要らない 願うなら 

なぜか、僕らを選んだ患者さんの

見慣れた笑顔がゴールであって欲しい

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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