「カンカンチーン~~カンカンチーン~~」
右片麻痺の失語のユキオさん。
彼とは何度も一緒に歩いた。
彼は4年前の7月天国に旅立たれた。
開業した最初からのリハビリ患者さん。
初心に帰る時、必ず思い出す方だ。
彼との歩行練習。
リハビリで、本当に大切なことはなんなのか
これを学んだ。
「歩く」練習、実はとっても奥が深い。
そして、大切である。
彼と一緒に歩いた、たった5mの仏壇までの道のりに
彼の生きざまを感じた。
仏壇の前に向かう彼は、どんなに息が上がっていても
必死に必死に歩いた。
そして、
ご先祖さまに真剣に家族の幸せを願って
心で手を合わされていたことを今でも思い出す。
左手で、
「カンカンチーン」
「カンカンチーン」
一生懸命、
心で手を合わされ拝んでおられた彼の横顔を
今も時々思い出す。