今日も『ザイタク』は熱かった。
胸腹部の大血管の手術をした。
そこにある動脈瘤が破裂する、
かもってことで大手術をした。
この動脈瘤はなぜできたのか、
今回は少し横に置いておこう。
大血管手術をした場合、飲み込みに関する神経に、
支障が出ることがある。今回の結果はまさにそれ。
飲み込みが全くできなくなった。
胃瘻になり、気管切開となった。
だけど彼はどうしても食べたい。
だけど唾液すら全部気管に入る。
死んでもいいから食べたいと彼が言う度に、
そう言わず生きてて欲しいと切に願う奥様。
希望を叶えるには気管食道分離手術が要る。
しかし彼は入院して手術を受けるのは、嫌。
大血管手術で食べれなくなったトラウマが、
邪魔する。死んでもいいから食べたいけど、
医療的安全であるはずの手術を信用しない。
回復期リハビリ病院を退院してからもう半年。
入院中、一切の経口摂取は禁じられていたが、
帰ってきてからうつ伏せ寝や奥様による吸引、
訪問看護ステーションからの理学療法の訓練、
訪問看護師さんらによる少量のガリガリ君の、
摂食嚥下直接訓練、最近ではご本人の希望で、
水飲み訓練を一日三回目安で取り組んでいる。
この半年間。一番の心配は誤嚥性肺炎。
今のところだが肺炎は起こしていない。
僕ら医療者はまだまだ知り得ないことが多い。
たかだか知れている数の科学的根拠とやらで、
誤嚥による肺炎を避けると言う人生の拘束を、
いとも簡単に、人生会議の名のもとに提案し、
その人らしく豊かな人生を選ぶことさえ奪う。
この罪深い善人の顔をした悪魔で居たくない。
僕は移り気な『ザイタク』に心から恋してる。
もう一度、しっかりと医の倫理を学び直そう。
2000年前にすでにあったヒポクラテスの誓い。
この事を軽視している在宅医療界に未来は無い。
今日もありがとうございました。
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