母の手術が、入院3日後と決まり、バタバタとした。
手術の同意書や身の回りの準備。
全身麻酔での手術なので、
もしものときに備えて、
銀行通帳やら貴金属、時計、着物はこうだああだ。などなど。
あそこにある、ここにあると言いたい放題。
そんなことまで、急に言われても、ホンマにわからん。
そもそも実家の中は、20年前の学生時代までさかのぼるほど、
触ったことがない。
普段はほっぽりだしてるくせに、急に慌てだす。
オカンは「遺言書も書かないとあかんかな?」
知らんがな。そんなことはやっとけよ、今までに。
と心の中でつぶやいた。
人生会議なんてもんは、
存在すら知らない状況だ。
どうなるオカン?
どうなる手術?
どうなる家族!?
どうなるタナカの介護離職??
いろいろ考えた手術中。
オヤジは「俺は仕事やし、ここにおる必要ないやろ」と言い放つ。
しょうがなく、手術室前で待機。
手術中は、院内に家族が居なければいけないのだが、
オヤジはおかまいなしに、自分の歯科診療所へ。
オレ、三田で在宅医??だったよな・・・・・。
24時間365日大阪のオカンの主治医????????
いろいろと悲しい気持ちになってきた。
タナカの家は、みんな無責任だ。
オヤジも弟もオカンの命より自分の仕事らしい。
オレが長男だから責任が伸し掛かるのか???
手術が無事終わり、オヤジが午前の診察を終えてやっと病院に戻ってきたから、
「ちゃんとオカンのそばにおったってや、流石にオレは三田に戻るで」
と言い残し、病院をあとにした。
夜、オカンから電話。
オヤジは、30分ほど面会した後、歯科診療所の午後診に行ってしまったらしい。
歯科診療所を休診にしないことに、こだわっていた。何をこんなときにこだわる必要があるのだろうか・・・。
手術当日の夜、オカンは、
携帯電話所有断固拒否のオヤジの自宅の電話にかけることなく、
病院のナースコールを押すこともなく、
三田で看取りをしているタナカに嵐のようなテレフォンコール。
なんかの深夜のテレフォンショッピングかと思うくらい、
一晩中、何かに付けてタナカの携帯を鳴らしたのだった。
オレはそんなに特別セールはしてないぞ。
介護離職、そりゃするわ・・・・。
つづく。
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