手足やのどや舌の筋肉・呼吸に必要な筋肉等が
徐々にやせ、力がなくなっていく病気。
そんな神経難病を患われている患者さんと奥さんが、
僕にこう尋ねられた。
先生、パパね、気付いたら機械外して
二階まで来てね、私達の寝室見たり、
おトイレの大の方ね、最近では、トイレまで行ってしてるんですよ。
それにね、先生との間での内緒のプリンね、
一個丸々よ。最近では、安納芋味とか柿味とか
ホント、もういろいろやっちゃってるのよ。
誤嚥性肺炎でパパ死んじゃってもいいと思ってるのよ、ねえパパ。
そんなだから、こっそり食堂でステーキ、
娘と息子と私でパパ抜きで食べてたら、いつの間にやら、
パパ機械外してこっちまで来てね、実は、、その実は、、、
家族4人で、食卓囲んじゃったりしてて、、、、
もうね、この喉の管とか胃の管とか、
外しちゃったら、先生、あのね、、、
この病気、治っていったりしないん？
もうだんだん治っていったりしないん？
坂道を転がり落ちるように、今日を迎えた。
あちこちの管や、人工呼吸器や、吸引器の使い方やら、
様々なことにチャレンジしてこられたご夫婦。
日々の暮らしの中、実際には
下がっていく変化を感じながらも、
その先には、まだ光があるのではないか、、
そう信じ続ける患者さんやご家族が
いつも僕に、その光の肯定を求められる。
もちろん、僕は精一杯の嘘をつく。
嘘も方便って、昔の人はよく言ったものだ。
医者になって20年。この嘘もなかなか磨きがかかってきた。
お父さん、そのプリン美味しいですか？
大きく頷かれる。
本当に満面の笑みだ。
これが、彼の光。って実感する。
じゃあ、
今度はステーキへのチャレンジ、
内緒の内緒で、応援しますね。
僕の言う内緒の究極の極意、
いつも忠実にやってくれてますもんね。
お母さんが誤嚥性肺炎で死んでも
もう本望って言ってましたけど、
僕が付いてるのでなかなか死ねませんよ。
さあて、一体どれが嘘なんでしょうね（（笑））
皆さん、想像してみてください。
そうそう、
僕は、ステーキ、まだまだ諦めていない
ってことだけは皆さんにお伝えしておきます。
僕はこの嘘を『ザイタク愛』と呼んでいる（（笑））
今日は、こんな曲です。良かったら聴いてください。
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