帰りがけに、そっと尋ねられることはよくある。
先生、彼の食事、
何に注意したらいいでしょうか？
むせることが多くなって、、、
長芋とか、トロミがあるほうがいいですか？
偉大な夫であり、偉大な父である、
彼は、今もなお仕事を続けている。
家に入ると、デスクのパソコンは仕事中。
先生、企業秘密やからそっちは見んとってや。
肺がんの彼の診察に伺う時、
3ヶ月前旅立った剛ちゃんのことが
頭に浮かぶ。どうしても重なる。
剛ちゃんと同じく、彼もまた、
半年先の仕事の完成に向け、
その手を止めることはない。
それらのすべてを感じ取っている奥さんは、
彼の尊厳を傷つけないように、そっと、
ほんとにそっと、帰りがけに僕に尋ねる。
答えがほしいのではなく、彼を守りたい一心で。
奥さんのその方法で、大丈夫です。
そう言って、スッと玄関へ。
送ろうとする彼らを制して、
お仕事続けてください。と家を出た。
ザイタクは、「やっぱり素敵や」と今日も自惚れ、
夏の暑さやイロイロコロナで負けそうで、、、
必死に自分を奮い立たすアホな僕がいる。
君のことを守りたい そのすべてを守りたい
君を生きる証にしよう 誰のためでもなく
フミヤの歌うこの曲が浮かんだ。
良かったら聴いてください。
https://www.youtube.com/watch?v=8mYlGovD_S0
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