君の名を呼ぶ。

先生、うちの妻は、企業で長年経理もキチンとして、

ホントすごくて、事務は超一流で、なんでもできて、、、

自慢の妻なんです。お薬の飲み忘れなんて考えられないし、、、、

今も、皆さんに良くしていただくのは、嬉しいんやけど、

こんなことは、スマートにサラってなんでもやるんですよ、、、、、

人様の世話になるなんて考えられない、、、ごめんなさい、、、

看護師さんにお世話になってるのはわかってるんですけど、、、

僕たち、その会社で出逢ったんです。

病気だって、ほんとに、なんで、、、なんで、、、

こんな病気に妻はなんで出逢ってしまったんでしょう?

もし間違いって言うなら、僕と出逢ってしまうことが

一番の間違いなくらいアカン亭主で、、、

病気まで間違いな奴に出逢うなんて、、、

どうしたらいいでしょう、、、、最善の最高の医療を、

本当に本当に先生、お願いしたいんです。

 

じっとしていることが出来ず、どうしていいかわからず、

僕の周りで、汗をかきながら、僕に一生懸命話しながら、

扇風機をアッチに運びコッチに運びされている。

 

 

家族や病院の先生からは、認知症状が進んでいる。

ご本人と合わせて一緒に診て欲しいとのこと。

 

愛する人が、病に冒され、弱っていくのを

傍で一生懸命に見ている彼は、昨夜ももどしたそうだ。

僕には、認知症状というよりも、

愛する人を失う恐怖に震えているようにしかみえない。

 

 

そんな彼を、愛する妻もまた、病と戦う。

戦いながら、彼の嘔吐を心配する。。。。

先生、彼のことも診てやってください。

 

 

ザイタクとはそんな場所だ。

ザイタクとはそんな哀しくも素敵な場所。

 

彼ら二人の、大切な時間をしっかり支えたい。

 

 

 

彼は彼女の名をそっと呼んでいた。

〇〇ちゃん、扇風機ここでいいか?

〇〇ちゃん、寒くないか?大丈夫?

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

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