先生、もう諦めたわ。だってねそうでしょ、治せないんだもの。
あっちもこっちも、痩せてきちゃって、治せるお薬だって無いんだし。
先生もチューブの交換とか、いろいろやってくれるのいいけど、
そう言ってもね、一生よ、一生。わかりっこないわ、先生には。
病気を受け入れるなんてことは並大抵のことじゃない。
まして、神経難病であれば尚更だ。治療法がないから難病なのだ。
この患者さんやご家族の苦しみを少しでも和らげたく思い、
訪問に出かけ、お話を聞く。どこかに、希望の光はないものか、
こんなタナカでもお役に立てることはないものか、
僕なりに探すがやっぱり見つからない。
もう死にたいって、時々主人が言うのよ先生。
だから言ってやるの、遅かれ早かれ死ぬんやから、諦めなさいって。
ねえ、先生、だって、そうでしょ?そうでも言わないと救われないわ。
世界は、今、死に関する議論、終末期に関する議論を深めている。
僕らの国はどうだろう?
ACPや人生会議は、一見希望の光にも見えるが、逆にもなりえる。
『治療の権利』として、受ける権利、拒否する権利、
そして、中止する権利、考えを変える権利を、
本人以外に委ねることになる可能性だってある。
その先にある、、、世界の潮流はそこに向かっているようだが、、
実は、安楽死議論も避けては通れなくなる可能性も秘めている。
この国は、本人の意思として自分より家族を大切にする素晴らしい国。
それ故に、権利権利で議論を進める可能性のある会議での人生決定はいかがなものか。
今、足元を固めなくては間に合わない。この日本が大切にしてきた家族や仲間、集落という形。
日本人の思い、心づもり、優しい心。おもてなしや思いやり。
その部分の僕らの語らいを蔑ろにして、ACP、人生会議、安楽死容認、
といった世界の潮流に流されることなかれ。
お父さん、またきますね、来週は気切チューブ交換しましょう!
こんな僕には、ニコニコ以外に道はなくしっかり握手して、
今日も必死にニコニコ笑顔で家を出た。
今日も笑っていよう。
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