命 LIFE リスペクト

先生、看護師さんや先生らにこんなにしてもらって、

もうなんだろう、泣いて途方に暮れてた時とは違うんです。

一日でも長く生きていて欲しいし、でも裏腹に、

一日でも早く楽になってほしいとも思うんです、、、

 

 

そんな奥さんに最期の準備の話をする。

一週間は無いだろうという話をカレンダーを見ながらお伝えする。

もちろん涙を流される。でも、しっかりと伝える。

『死』の心の準備は、僕には絶対に出来ない。

ご本人と奥さん二人にしか出来ない。だから、ちゃんと伝える。

 

医者っていう仕事は、そういう仕事だ。

昔、研修医の頃、胸部外科の教授が教えてくれた。

 

『死』の話をしっかりと出来るようになれ。

それが出来ないうちは、お前らには手術は任せらんねえ。

 

手術や化学療法や放射線治療、延命治療。

どんな治療だって、医療は不確実。

残念だが、『死』はいつだって隣合わせだ。

これらの治療に挑戦する時、医師はどうあるべきか。

 

本当に、胸部外科の教授が話してくれた通りだ。

最近、やっと少し分かるようになってきた。

 

『死』の話が出来ねえうちは、お前ら若いやつには手術は任せらんねえ。

 

 

 

 

先生、私、主人をしっかりと送ってあげます。

でも、私一人になるのはやっぱり寂しいから、

もう少しだけ点滴なんとかしてやってください。

 

 

ちゃんと、しっかりと、逃げずに、医者の僕が『死』をお伝えすれば、

患者さんやご家族は、自ら彼らの『命』と向き合う力を持っておられる。

ここに対するリスペクトこそ一番大切だと、今、本当によく分かる。

 

良かったら聴いてください。

 

 

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