もうな、ワシな、最後の晩餐済ませたんや。
京都のな、ほら!有名なツケモンあるやろ。
昨日な、すぐきでお茶漬けや。それが最後の晩餐や。
学生の頃、友人とな、最後はすぐきでお茶漬けやな、
って、そんな話しとったん思い出してな。
一昨日な、京都の友人に電話したんや。
すぐき送ってくれや、言うてな。
そしたらもう昨日に届いたさかいにな。
ワシ、もう、消化悪いん食べられへんからな、
ちょろっとだけお茶漬けしたさかいにな、
最後の晩餐はもう済ませたし、残りのあとのは、
アンタ持って帰ってえな。お茶漬けしいや。
数ヶ月前に人生で初めての大病を宣告され、
あまりにも衝撃が大きすぎて、オロオロしてしまったそうだ。
その時に、医師の告知に残酷を感じ、看護師の慈悲の涙に救われ、
今年に入り、終活をほぼ済ませ、仕事の申し送りも済ませ、
2月になって、大切な友人の方々に連絡を電話で。涙の報告と別れの言葉。
そして、昨晩、最後の晩餐に決めていた、すぐきのお茶漬け。
さあ、先生、もうな、すっとな、、、頼むわな、、、
ワシな、、もうええやろ、、、、もう逝っても、、、
その全てをお聴きしたけど、ここからが、
在宅ホスピスの緩和医療の腕の見せ所。
お父さん、まあ、この薬とこの薬で、やってみよ。
ホンマ、しんど無いようにするから安心してや。
彼の人生で取り組んできた武勇伝話は、今日は無し。
もう5回位は繰り返し教えて頂いてるので、今日は、
彼は黙って頷き、お薬を飲んで、一言だけ、おっしゃった。
また明日な。
明日も伺いますね。お薬ガマンせんと飲んでくださいね。
指で丸をつくってる彼を見て、お部屋を出た。
医師がしっかりと、人生の最終段階に向き合い、
その時のことを予想し、残酷にも告知してくれてることは、
やはり、大切なことだと、今日も実感している。
在宅ホスピスには、本当の所、
残酷な医師の告知も必要で、
看護師の慈悲もまた大切だ。
僕らはそうして忘れて夜を進んでいく。
最後に振り帰って光を灯すように。
病院の本気の医療が、在宅ホスピスを支えている。
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