あかんわ、先生。やっぱ痛いわ。
何回も頓服飲むんやけど、、、
訪問を重ねても、その痛みに近づけない。
彼の痛みはどこにあるのか、見当がつかず、
医療用麻薬の使用が、増えていく。
先が見えなく症状コントロールに難渋してくると、
やっぱり、薬の増量や変更、そして、鎮静薬使用が頭によぎる。
今日はどのお家でもWBCの試合の話で持ちきりだ。
とは言えこの痛みのコントロールが出来てないお家を伺うと、
WBCの試合を見逃しておられた。痛みのあまりそれどころではなかったご様子。
先生、あかん死ぬほど痛いわ。野球見るの忘れとった。
逆転で日本勝ったんですよ。今もニュースで放送してますよ。
彼と一緒に、ソファに座り、テレビ番組をWBCニュースにして、
WBCの村神様のサヨナラヒットが何度も流れる映像を見ている時、
ほんとにボソッと、テレビの画面の方を向きながら、呟かれた。
先生、ワシなもう死ぬんか？
１ヶ月もないんか？ホンで死んでもな、、、
天国でもな、、、こんな痛いんちゃうやろな？
すごく真剣に、低い声で、
穏やかに静かに、呟かれた。
最近学んだ口調で、繰り返す。
死ぬ思てるんですね？１ヶ月無い思てるんですね。
死んでも、死ぬほど痛い思てるんですね。。。
先生、そうちゃうんか？息子らがホスピス病院見学の話とかしてきたり、
医療用麻薬の使用が増えてきてる事から想像するに、いよいよなんかと。。。
こちらの目を見て、予後を教えてくれ、まだ死にたくない、という感じだった。
いよいよや、、、って思てたんやなあ。しんどかったなあ。
そやけど、そんなんじゃまだまだお迎えやないですよ。
それを聴いたご本人は、さっき飲んだ、
頓服の痛み止めの効果があったのか、
今までの頓服より種類も変更し、
量も少なくしたにもかかわらず、、
おいおい、息子！痛みスッキリしてきたわ。
痰も何故か切れるし、息も楽になってきたわ。
お薬の効果そのものは否定しない。が、
その飲み方や、飲む時の雰囲気や場所、時間、
周りにいる家族や友達、ついでにタナカの傾聴、
そんないろんなことがあって、やっとこさ、
お薬の効果の本領が発揮される。
WBC村神様のサヨナラヒットを、ライブじゃないのにもかかわらず、
テレビでソファに座って二人して見て、大きな声で応援していると
お父さんの疼痛は実際に軽減していた。ホント、痛みって不思議ですね。
そして、話を聴くって大切ですね。さらに、家の力ってやっぱり素敵ですね。
それでも、お父さんの苦しみには僕はまだ遠い。
今日の曲はコレです。良かったら聴いてください。
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