お祖母ちゃんの最期の詩

脳転移症状や病気進行による脳症状について、

時々、患者さんのご家族から相談がある。

 

先生、この人、時々よくわかんないこと、

急に話し始めたり、急に手や足を動かしたり、

どうしてあげればイイのか、、、、

わかんない時あるんです、、、、、

 

こんな相談の時、決まって思い出すのは

「お家に帰りたい。こんなところにいては私はだめになるわ。」

と真剣に話す肺がん脳転移で放射線治療入院中に面会した祖母の顔。

今すぐ、ここからお家に連れて帰って欲しいと懇願された。

 

 

自宅に戻った時、祖母は普通になる。いつもの穏やかな祖母だ。

それでも、脳転移症状は日夜変化する。悪化する。

初孫の僕が可愛くて仕方なかった祖母が、深夜、急に起きて来て言う。

「あんた誰や?ドロボードロボー出て行け!」

夜中に台所で医学論文を読んでいた孫の顔が怖かったようだ。

すぐに祖母に駆け寄り肩を抱き、ベッドへ連れて行く。

その温もりに、やっと大好きな孫を感じ、ベッドで寝入る。

次の日も次の日も、深夜そんな事があった。

医学論文を読むのをやめた日、隣にひいたお布団に、

早めに僕も潜り込んで、寝る時間を合わせると、

祖母のその夜中の行動はおさまった。

僕が幼稚園の頃、祖母に預けられた日、いつも話していたのは、

「寝る前の読書は目が悪くなるのよ、

おばあちゃんが寝るまでお話してあげるから、

目を瞑って、安心して寝るのよ。お勉強は朝にしなさいね。」

 

 

「あんた誰や?ドロボードロボー出て行け!」

ではなくきっと、祖母は僕にこう言いたかったんだと思う。

「章ちゃん、目を瞑って、寝なさい大丈夫よ、お勉強は朝にね。」

脳転移があっても、どんなに病状が悪化しても、

祖母は大好きな孫のことをいつもと変わらず思い遣った。

 

 

 

患者さんの訴える心の声に、いつも耳を傾けたい。

ご家族のご本人を心配する言葉も、いつも大切にしたい。

 

ザイタクを教えてくれたお祖母ちゃんの最期の詩。

「章ちゃん、目を瞑って、寝なさい大丈夫よ。」

この託された言葉は重い。深い深い愛を教わった。

 

ザイタクを天国に響き渡らせる 全国に直に分からせる

なぜか涙がポロポロ流れた。良かったら聴いてください。

 

 

 

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