スイカ🍉

美味しい、、、

 

肝臓の終末期の症状で、肝性脳症というのがある。

声をかけなければボーってしてる状態で、黄色いが、

眉間のシワはないので、穏やかに寝ていられる。

 

 

先生、化学療法は駄目なんわかるんです。

新薬とか、漢方とか、なんかお薬ないですか?

 

大切な人がいよいよの時を迎えている。

ご家族の必死の願いに応える術は、医療にはない。

 

黙って、頷いて、ご本人やご家族の言葉を伺うも、

僕の武器であるはずの医療には、何も救えない。

 

娘さんがそこへ冷たいアイスを運んでくる。

 

お母さん、一口一口ゆっくり食べて。

 

彼女の飲み込みや娘さんの介助の方法を

より良い方へ少しリハ的助言をして、

ご本人の様子を観察する。

 

冷蔵庫にスイカもあるよ。と息子さん。

 

ご主人が急いで冷蔵庫へ。そして、

一皿に2センチの立方体に丁寧に切ったスイカが10切れくらい。

 

お父さん小さくゆっくりよ。と娘さん。

お父さんは、鼻水と涙でグシャグシャになりながら、

一つ一つ、スイカを愛する妻の口に運ぶ。

僕もちょっとだけ、サイコロジカルヴィクトリーな言葉がけ。

 

ご本人に、大好きなお父さんのスイカ、美味しい?

 

大きく頷き、満面の笑みを浮かべ、

黄色にポッと紅さが増して、冒頭の言葉だ。

 

 

美味しい、、、

 

ご本人もご家族みんなも、必死に、涙を堪える。

こんな大切な優しい時間には、

涙やなくて笑顔が似合うんだとばかりに。

 

お家で暮らすということ。これにまさる薬はない。

 

今日も素晴らしいザイタクを見せて頂いた。

 

今日はこんな素敵な歌。良かったら聴いてください。

 

 

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