奇跡を望むなら、「終わりのない苦しみの方が私はいい。」

先生、この前、おもむろに、お父さんの横で、

そろそろお布団並べて寝た方が良いように、ボソボソと

思わせぶりな話だったのは、やっぱりそういう事?

 

恐る恐る、ご主人の予後を探るように、

奥さんは、帰りがけに、僕に尋ねられた。

 

 

奥さんにお伝えしたのは、

その時を悟られないようにしたいなら、

今から、一緒に寝るのはどうだろうってこと。

 

僕がわかるのは、一週間前。

だから、その時が来てから、

一緒に寝るんやなくて、

今からご一緒はどうでしょう?

彼のことだけ考えるなら、僕は、

今からお布団並べるのが良いと思うんやけど、

やっぱり、先が見えない苦しみやしんどいことは

介護疲れが出て、やっぱり、嫌でしょうか?

 

こう尋ねると奥さんは、ちょっと考えながら、

玄関に向かいながらこうお返事をくれた。

 

先生、私、終わりのない苦しみの方がいいわ。

1日、1週間、1ヶ月、1年って過ぎても、

そこからまた、欲が出て、また1年1年って、

お父さんに生きていて欲しい、って思うと思うんです。

 

この言葉を聴いて、とても嬉しくなったし、

涙が出そうになった。と共に、

この純粋な気持ちを支えたいと思った。

 

ザイタクは、やっぱり『愛』だ。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

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