人前で泣いたことのない そんな強気なあなたでも

先生、ここや。痛いんは、、、ここ、、

 

ご自身の左胸に、手のひらを当て、

いつもは見せたことがない、

目を真っ赤にされた涙目で話された。

 

リハビリとか、マッサージとか、鍼灸とか、

そんな私の事やなくて、お父さんが最近、

腰が痛いのか、よくわかんないんだけど、

週3日の入浴介助がすごくつらそうで、

そこを助けてやってほしいんです。

 

 

14年前、還暦の頃、頸髄損傷を受傷された。

首から下は、上肢以外は、動かすことができない。

それからずっと、最愛のご主人が献身的に、

14年間、在宅介護を続けられてこられた。

 

僕らとお付き合いはその半分の7年だ。

この7年もの間もずっと、

ご主人がたった一人で、

週3日、入浴介助を続けてこられた。

愚痴一つ聴いたことがない。

大切なご夫婦の時間だった。

 

と、簡単な言葉で表現できるものではない。

誰も介入できない夫婦愛の重みと深みを感じていた。

 

俺も年やわ、先生とこの看護師さん、

お風呂なんか手伝わしてしまって、

お湯で濡れてしもうてもええんか?

 

涙目の照れ隠しで、ちょっと微笑みながら、

申し訳無さそうにされながら、とうとう、

看護師の入浴介助を頼んでいただけた。

 

お父さん、ありがとうございます。

僕らは、嬉しいです。喜んでズブ濡れです。

 

そうお伝えすると、涙目が、笑顔になった。

 

家を後にして、往診車の車のミラーで、

自分の顔を見たら、僕も少し涙目だった。

 

今日は、介護の取り組み方について、

ちょろっと、お父さんと話ができた。

内容は内緒だけど((笑))

お父さんのお母さんへの愛を

僕らも感じている事を少し、

お伝えできたのかもしれないな。。。

 

やっと、入浴介助を僕らに、少し分けていただけた。

こんな、サイコロジカルヴィクトリーもあるんだなあ。

 

 

『ザイタク』は、苦しく、深く、暗い。

それでも、そんな中に、美しい愛の光がある。

やっぱり、『ザイタク』は素晴らしい。

今日もありがとうございました。

 

 

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