先生、あっちの病院もこっちの施設も、
検査で陽性だったから、もう入れないです。
皆さんにご迷惑がかかるから、それはわかるんやけど、
お父さん、喉が少し痛かっただけで、風邪気味なだけで。
でも、私も仕事に出かけないとアカンくて、
施設に入るため、あの高級風邪薬飲んだら、
家でみれんくらいの変なお父さんになっちゃって、
夜中に突然飛び出してコンビニ行ってたり、
今朝はベッドの横で寝転んで大声出してたり、
でも、先生がこうしてすぐに跳んできてくれたら、
お父さん笑ってくれて、「よろしく頼むわ」言う、
いつも通りの優しい穏やかなお父さんで。
機能強化型在宅療養支援診療所の仕組みで、
地域包括ケア病床を持つ恒生かのこ病院の
いつも連携しているドクターから至急のご依頼。
ご依頼後一時間ですぐに、ご自宅に駆け付けた。
社会支援の狭間に落ちて行きつつある現状。
注射は何度もして、検査もして、お薬もして、
それなのに、ご本人ご家族のリビングウィルは、
全くもって叶えられず、不安で充満している。
ここ関西にお越しになったのは、１年前。
９０歳を越え、横浜のご自宅での
お一人暮らしが難しくなり、移住。
初めての土地に頼るは娘さんご夫婦。
医療は、暮らしを支えると言っても、
本当に、そう出来る働きをしているのか。
夜相談所で片づけしながら、そんな事に思いを巡らし、
答えなく苦しんでたら、突然お電話が鳴った。
先生、本当にあっちもこっちも、
受け入れてもらえない中、
ここの私のお家で、こうやって、
父は息を引き取ることができました。
ありがとうございました。
これでよかったのかどうなのか、
そんな烏滸がましいことは考えない。
しかし、しかし、だ。。。。。
帰りの往診車のラジオから、
一晩ザイタクの口惜しさを思わせる、
こんな歌が流れてきた。。。。
良かったら聴いてください。
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