終末期に愛は 愛はあるのか

人間の生まれる時と死ぬ時は、人を集める。

昔、在宅医療の大先輩が教えてくれた。

 

 

 

 

終末期ということで特養から自宅に戻られた曾祖母さん。

毎週末に曾孫がやってきて食事介助をしてくれる。

その時、曾孫が摘んできた菖蒲(アヤメ)を見て、

ちゃんと『アヤメ』を摘んできてくれたと話される。

その日食べた筍ご飯と苺のことは忘れてたとしても。

曾祖母さんの一番大好きなお孫さんは今日はお昼からお仕事だそうだ。

『後ろ髪引かれながら』両親に祖母を任せ働いてくると仰られる。

お孫さんの両親である息子さんご夫婦は、お母様になにかあったら、

すぐに、なんでも田中にお電話していいか、玄関先まで出てこられ、

お尋ねになられる。そして、僕がそこから帰るまで見送ってくれる。

 

終末期のそこには、『愛』しかない。そして、

ご本人のところにみんなが愛をもって集まっている。

 

 

 

先生、この人、息子らに大学にも行かせて、行かせてる時、

バイトもさせず、ずっとお小遣い渡して、可愛がったんよ。

だからこの子らに言うのよ。お父さん生きてる間に、

ちゃんとご恩返しするのよ。今しなくて、いつするの?

そう話してるの。って話されるお母さん。昨夜も一晩中、

寝ずにお父さんの背中をさすっておられたそうだ。

その息子さんらも、いつの間にやら、大阪や神戸から

帰ってきてお父さんの傍にいるお母さんに、

今日は僕らがするからお母さん寝とき、って話される。

 

終末期のそこには、『愛』しかない。そして、

ご本人のところにみんなが愛をもって集まっている。

 

 

 

 

これだから、ザイタクはやめらんない。

今日も素敵なご家族の『愛』を見せて頂けた。

 

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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