私は先生のこと知ってるのよ。大切に想ってるわ。

私は市民病院の原田先生のことちゃんと知ってるのよ。

覚えてるわ。だって、そうでしょ。外科の原田先生、

私なんかのお話、じっと黙って聴いてくださったのよ。

こんなもうお迎えを待つだけで役に立たない私のお話。

黙って、うんうんって、何度も聴いてくださったのよ。

原田先生が、お元気でお仕事なさってるか、

こんな今の私でもそれだけが気がかりなの。

変なこと言ってごめんなさいね。

いつかお逢いしてお礼とお別れが言いたいの。

今日の先生のお名前覚えてないけど、お顔は知ってるわ。

先生、原田先生に、私のお礼お伝えいただけないかしら。

 

 

 

 

死に向かう中、常に自身の喪失感に苦しまれている。

もうお迎えが来て欲しいと繰り返される。

が、やっぱり、とても素敵だ。

病院の先生にお話を聴いていただけたことが、

これから死に対峙する彼女を今も支えている。

 

お話を聴いてくれた市民病院の外科の原田先生の事を、

ずっと大切に想われてる。お別れもお伝えしたいそうだ。

 

 

 

往診帰りの車のラジオから優しく歌うミセスが流れてきた。

君を知るため君の話を聴きたい。主語が変わらず僕なんだけど、、、

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

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