ならぬ堪忍するが堪忍

僕の患者さんで90歳代の独居の方が複数いる。

どの方にも、いつも人生を教えて頂ける。

独居でも最後までお家におられる。憧れだ。

 

彼ら彼女らに共通なのは、

身体がどんなに不自由でも、

心が、とっても自由だ。

でも、そこまでの人生は、

やっぱり、山あり谷あり。

 

で、そのお一人の92歳のヨシ子さんに、

独居で最後までお家に居る秘訣を伺った。

 

 

 

 

先生な、気持ちはなかなか届かんのや。

私のな、親は悠長で、兄弟は盆暗で、

ホンマ大変やった。人生長くなるとな、

裁判も警察も刑務所も、アッチもコッチもでな、

もうほんま、コリゴリや。

せやけどな、今思うんわな、想いは届かんもんや。

だからな、毎日が、『ならぬ堪忍するが堪忍』

ずっとこんな感じで歯を食いしばってきたんや。

で、今が一番幸せでな、そやけど一つだけ。

子供を泣かす親になったらあかん思うねん。

世話なんか、なんもせんと脛ばっかかじる私の兄弟のとこにな、

嫌嫌居た親のこと思い出したら、今もホンマ胸が苦しくなるんや。

ほんで涙がよお出たわ、情けなくってな。せやからな、

私の脛かじってな、世話もよおせんような子供らにはな、

私の最期の事な、頼らんことにしたんや。お一人様が一番ええ。

だからな、先生とな先生とこの看護婦さんな、よろしゅう頼むな。

 

 

毎週お家に伺い、1時間ぐらい人生を教えて頂ける。

診察に行くというより、教えを受けに行っている。

 

『ならぬ堪忍するが堪忍』これが今日の教えだった。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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