パンツの中にロキソニン。

夜に昼に朝に、お電話がかかってくる。

 

その症状は、様々で、例えば、

先生、頭が痛いの。フラフラするわ。

先生、膝が痛いの。コケソウなんよ。

先生、目が回るわ。アカン気がするわ。

ありとあらゆる表現で、お電話がある。

 

ゆっくりとその苦しみについてお聞きすること30分。

いつの間にやら、なんでお電話したか忘れてしまう。

 

 

そんな感じで、もう半年が過ぎてきた。

ポリファーマシーって言って、

たくさんのお薬が処方されている状態から、

徐々に、無駄に出てた処方薬の整理が出来てきた。

 

最後に、強敵が残った。

ぶっちゃけこれを切りたくて切りたくて。

ロキソニンの処方を切るのではなくって、

ロキソニンの処方を終了したくって。

 

どうしても、ロキソニンと言う痛み止めの依存が、

20年?以上も常用してきたせいもあって、解決できない。

 

 

先生、気分がスカッとするのに、ロキソニン頂戴。

先生、目が覚めてフラフラするから、ロキソニン頂戴。

先生、食欲湧かないし気分が落ち込むから、ロキソニン頂戴。

 

僕らの診療以前からの多量の処方で、

隠し持つロキソニンがある。ようだ。

処方しなくても、どこからともなく

出てきてコッソリ内服されている。

 

訪問看護ステーションの看護師さんと、

訪問薬剤に積極的な訪問薬剤師さんと、

僕と同じくらい電話対応してくれる素敵なケアマネさんと、

しっかりとタッグを組んで、ポリファーマシーの負のサイクルから、

彼女を救い出そうと、必死に取り組んだ6ヵ月だった。

 

 

 

で、彼女の足部の痛みがどうしても取れなくなり、

ポータブルトイレの使用もままならなくなってきた。

 

このタイミングで、僕らのレスパイトにもなるんだけど、

明日から1カ月老健に入所いただくことになった。

 

これを決めてからの彼女は、とっても穏やかで、

ロキソニンも隠さず、適量内服されるようになっている。

 

 

 

 

地域全体で、チーム全体で、ご家族と共に、

薬依存のこのポリファーマシー天国を、

なんとか、変えていきたい。

 

 

そう言えば、彼女、一番ロキソニンを欲しがってた時、

「パンツの中にロキソニン」隠し持ってたよな((笑))

 

で、今日は、「パンツの中に、、、」の勝新太郎。

良かったら聴いてください。

 

 

 

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