「薬なんかじゃアカン。風。これに勝るもんはないなあ、、、」
小春日和に椅子を出し、いつもの慣れ親しんだ田んぼを一緒に眺めた。
少し肌寒いけど、とても爽やかな風が、サーって彼を包んだ。
在宅ホスピスで大切な緩和ケア。症状緩和。
緩和の専門家は何故か、ココは在宅なのに、
お薬優先で、症状を緩和しようとする。
それではザイタクの専門家と言えない。
患者さんが生きてこられたストーリーに、
しっかり耳を傾けるとそこにヒントがある。
病院緩和医療は薬合わせの事が多いのだが、
在宅緩和医療は薬を必要とするのは、ほんの少し。
あったとしても出番は最後の最後。って気がする。
春が来ると、ツバメを迎え入れ、
田んぼに水を入れ、お米を育てる。
夏の頃までツバメの子らの巣立ちを眺め、
秋には、美味しいお米を収穫される。
いつも、田んぼの事を気にされてて、
今年は息子さんらに申し送り。それでも、
今だに耕運機なんかの来年の心配をしてる。
そんなお父さんも、いよいよの時が迫っているが、
大切な田んぼを見に行くだけで、症状が落ち着いた。
「お薬より、やっぱりこれだよなあ。。。」
風に吹かれて田んぼを眺める彼はとても穏やかだった。
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