最期の時間を家で、家族に囲まれて、過ごしたいと
認知症のあるご本人の意思を、ご家族で想像して、
生きて帰れない病院から一生懸命に帰ってこられた。
数年前に、奥様をザイタクで看取らせていただいた。
今回、90の肺癌末期のお父さんがお帰りになるにあたり、
奥様の時のご縁もあって、僕らに白羽の矢が立った。
この地域の古くからのお菓子屋さん。
彼らはこのクリスマスやお正月の時期は、
子供会なんかのお菓子の袋詰めの作業や配達で、
特に忙しい。
こんな子供達のためのお菓子はとっても素敵だ。
お父さんが若い頃に始めたこの稼業。お菓子屋さん。
その作業は、大家族みんなで引き継いでおられる。
作業されてる横にベッドがあって、車椅子があって、
酸素の機械もあって、たった2週間だったけど、
イチゴ農家の娘さんの作ったイチゴや米饅頭、
いつも通りのお嫁さんの作る具沢山お粥さん、
これらの愛情いっぱいの食べ物で摂食嚥下訓練、
一人アカペラのカラオケで発声練習、
座位を安定させるための介助歩行訓練、
排痰ドレナージのための腹臥位療法。
曾孫も17人もいるそうで、ご家族みんなが、
出たり入ったりの2週間。
お声がけも温かく優しさで溢れていた。
本当に素晴らしい時間だった。
旅立ちの今日、丁度、訪問入浴の時だった。
集まったご家族みんなでお父さんのお身体を洗った。
中学生の曾孫さんが、少し不慣れな手つきで髭をそってくれた。
先に逝った奥様がお父さんに用意されたお着物を浴後お召しになった。
聴診器で、順番に、お父さんの最期の心音を、
小学生の曾孫さんらに、聴いていただいた。
そして、その後、死亡確認させていただいた。
曾孫さんの年齢の頃、お父さんや奥様は、
1945年の終戦を経験された。はず。
このご夫婦はこの国の未来を支える子供達の為に、
きっと、お菓子屋さんを始めた。と想像できた。
そんな大切なお菓子の袋詰め作業の中、大切な最期の時を過ごされ、
今日も、曾孫に命の大切さを知ることができる心音をプレゼントされた。
1945年から随分と経った。
僕達は子供達に何を伝えられるだろう。
ザイタクを、もっと真剣に。謙虚に。
今日もありがとうございました。
良かったら聴いてください。
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