先生、雪が舞ってるわね、今日は。
寒い中、ありがとうございます。
今日は何のお話ししようかしら。
今日は、先日の担当者会議でも、
話題に上がったアツ子さんの、
コッソリため込んでるお薬の事。
あ、そうだったわね、先生、私ね、先生に内緒のね、
お薬、ね、実はね、秘密のお薬持ってるんですのよ。
睡眠導入剤ね、病院の整形の先生にね、内緒よ、
1ミリグラムの今ね無理言って、もらってるの。
でね、ちょっと前ね、強い２ミリグラムのね、
心臓の先生にもらって貯めてたのよ。だって、、
私は心配性だから、予備が沢山無いと嫌なのよ。
内緒よ、なぜか出してくれたのよ。ほら、前ね、
事件あったでしょ、歌舞伎役者さんの、、、、
えっと誰だっけ、、猿之助さんだったかしら、
ご両親と一緒に無理心中、睡眠薬で、、、ね。
私もお巡りさんに捕まらないかしら、、実はね、
100錠も、、内緒よあるの。冷蔵庫の奥にね。
異常気象で今一番常温でしょ、冷蔵庫が（（笑））。
アツ子さん、今度見せて下さいよ。
訪問看護師さんも困りますからね。
他には秘密のお薬無いんですか？
これを機に出してくださいよ。
そうね、秘密ね、、、秘密の恋の処方箋なら、
他にもあるわよ。この前ももらっちゃった❤。
先生なんて、もっとあるんじゃないの？❤
高校時代のアツ子さんに想いを寄せていた男性。
アツ子さんの親友と何かと連絡を取ってるようで、
あれから何度となく、恋の処方箋、すなわち、
70年越しのラブレターが時々届くそうだ。
その男性とは、結局のところ、70年たった今でも、
逢うことはないそうなのだが、、（（笑））。
そこに、野太い声の男性からお電話が鳴る。
「アツ子さん、診察いつ終わるんや？買い物、
連れて行く約束やったやろ、そろそろ、迎えに、
行ってええんか？あ、まだ先生居るんか？
ほな、15分後やな、わかった、寒いから、
暖かいかっこして出てきいや。ほな後で。」
あ、これね、ボーイフレンドよ。彼、主人の親友だから、
先生、大丈夫よ、間違いなんか起こらないから（（笑））。
施設のご主人も食事が細くなり、点滴が始まり、
そろそろアツ子さんのお役目も終わろうとしている。
先生、私はね、好きに生きてきたわ。
でも、ちゃんと主人を見送れそう。
その後も少しだけ、私の人生、楽しむわね。
それでね、生きていくには、
秘密の恋の処方箋も必要よ。
って、聴こえたような聴こえなかったような。
今日の心臓と肺が終末期のアツ子さんの診察。
とても穏やかな時間で人生を教えて頂き楽しかった。
今日のお薬のお話し、くれぐれも内緒よ。
そう言って、サミットで使われた日本酒。
クリニックの新年会で頂こうと思います。
なんとなく、この曲。
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