切る言葉があるのなら、治す言葉もあるはずだ。

歌手中島みゆきさんのお父様は、産婦人科のお医者さん。

彼女のデビュー直後亡くなったお父様から次の事を教えられ育ったそうだ。

 

「刃物で切った傷なら薬で治せるけれど、言葉で切った傷につける薬はない」

 

そして、「切る言葉があるのなら、治す言葉もあるのではないだろうか」

と感じたことが歌を作る上での原点となったそうだ。

 

 

最近、ご紹介のあるがん患者さんの多くは、なぜか、

見つかると同時に、ステージⅣであることが多くなった。

 

ガンです。ステージⅣです。治療はありません。

 

この言葉は、痛い。痛すぎる。

治療の為に告知が必要なこの時代。

医療情報がすぐ手に入ることもあって、

告知無しなんて選択はほぼあり得ない。

だから、、治療がなくても、、、

言葉で命を傷つける。

 

その言葉に続いて延命治療はどうしますか?

心臓マッサージは?人工呼吸器は?点滴は?

と、医療者都合時間のスピードで説明が続く。

 

言葉で命を切り続けるこの世にしたのは、

どこの誰なんだろう、、、、、、、。

 

 

今日お出逢いしたステージⅣのがん患者さん。

年上で耳の遠いご主人と二人暮らし。

自分がご主人を見送る予定がくるってしまった。

 

 

先生、あれよあれよという間に、

今日の日まで来てしまいました。

自分の人生を考える時間もありません。

で、気が付いたら、こんなにもお薬が。

この病気が年末に見つかるまで、

病気もしたことないし、お薬なんて、、、

飲んだことなくって、どうしたらいいのか、、、

 

大丈夫、このお薬ちょっと整理しますね。

 

朝に10錠、昼に6錠、夕にも10錠の内服があった。

整理して、もう一度、僕なりに苦しみと暮らしを感じて、

朝に5錠、昼に4錠、夕に5錠と、約半分にした。

 

これでどうですか?いけそうですか?

 

わああ、、、もうこれだけでも先生、

わたし、生き返りました。生きてけそうです。

それに、もう死ぬお話しばかりだったから、

今日、先生から『暮らし』のお話を聴けて、

まだ、生きてていいんだってわかりました。

ありがとうございます。元気になりたいです。

 

 

切る言葉があるのなら、治す言葉もあるはずだ。

 

残された時間がたとえ短くても、

最期の時まで、命を燃やして欲しい。

医療者によって作ってしまったこの世情。

まだ、それでも、、、、

僕ら医療者は、患者の命の傷を治したい。

 

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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