医者馬鹿。痛みは消えないままでいい。

先生、母、夜中に意識フラフラしてて、、

トイレに行った時です、そう、それに、、

えっと、その前ソファで寝てて、横で、

バタンッて音がしたら、お尻押さえてて、

イテテッて言ってて、そう言えばその時、

フラッてしたのかしら、いやどうかしら、

ベッドに戻って慌ててて、、救急車って。

携帯電話探してるうちに、お母さん、なんか、

正気に戻ってきたの。それで、大丈夫?大丈夫。

って感じで、救急車呼ぶの止めたんやけど、

そこに先生のお電話番号の紙が目に入ってきて、

私馬鹿だわ、そう、こんな時にこそ、先生。

先生にお電話でよかったんだと気が付いて、

今やっと先生にお電話してるんです。先生、

今はお尻痛いだけで、母意識も戻ってるし、

大丈夫って言ってるんです。お母さんの事、

このまま様子見てていいでしょうか?

 

 

バレンタインデーの上映会のあった早朝、

最近お一人暮らしをしてたお母さんを引き取り、

お二人暮らしを始めた娘さんが、

早朝の事がビックリだったのか、息を切らして、

必死に状況説明されるお電話をされてきた。

 

 

一通りお話を伺って、診に伺いましょうか?

と、尋ねると、こんなんでもいいですか?

ありがとうございます。お願いします。と。

 

往診するとお母さんも落ち着いておられ、

尻餅ついちゃって尾てい骨が痛むとの事。

意識消失発作があったことは忘れておられた。

 

こうして先生が心配して来てくれたり、

お電話したらお電話に出てくれたり、

それだけでもう安心です。また今度は、

なんかあったらすぐにお電話しますね。

 

 

翌日、朝、またお電話があった。

先生、なんか母しんどいって言うんです。

でも、朝食も食べれたし、夜もちゃんと、

寝てたみたいなんです。熱もないし、

昨日みたいにフラフラもしてないし、

私が不安なだけなのかもしれないんですけど、

それでも、先生、お電話出来るって、ホント、

これだけで安心なんですね。先生の声聞いたし、

母の事も伝えられたので、もう大丈夫と思います。

 

そう言って、お電話を切って行かれた。

なんとなく、正解の答えは出せないんだけど、

気になったから、その日の夕方にお電話をしてみた。

 

 

わあ、先生、ありがとうございます。

わざわざお電話。気にして頂いてたんですね。

あれから母も私も元気が出てきて、それで、

先生、母と二人でお買い物にも出かけれて、

今日がとっても良い日になりました。

ありがとうございます。またお電話しますね。

 

医者は馬鹿だから、なんかわかんないけど、

数学で習ったような、正解を出すことが、

正しいと勘違いしている。僕もそれ。

 

 

症状緩和する時、痛みは消えなくっても、

強い医療用麻薬投与が正解だと思って心の痛みを見落としたり、

認知症の内服が増量規定だけと変えることが出来なかったり、

「死にたい」って言われる時『安楽死』の話しと安易に思ったり、

がんで終末期の状態にあったとしても、どんなことをしてでも、

化学療法なんかの延命治療継続を家族は希望してると、

勘違いから治療の止め時をちゃんと示せなかったり、

それだから、患者にACPなんかを強要してしまってたり、、、

 

 

僕は馬鹿だから、そんな電話があっても、

やっぱり、診断という正解探しをしてしまう。

 

夕方お電話をしたら、お礼の後、娘さんが、

 

「先生、私の不安に思ってた気持ち、

聴いてくれて、わかってくれて、

ホント、ありがとうございます。」って。

 

 

 

これが愛じゃなければ

何と呼ぶのか

僕は知らなかった

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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