僕らは、固くつないだ手を放さないから。

いやや、入院は要らん。

ワシはここにおる。

一人でかまへん。

もう死んでもええんや。

 

 

3日前から食事も摂れなくなった。

息子さんが訪れた時には、こけていた。

畳の部屋の仏壇の前でうずくまっていた。

 

男の一人暮らしになって20年。

奥さんに先立たれ、それでも、

ここでずっと一人暮らしてきた。

そんな親父さんの為に、仲の良い兄弟は、

三田市の在宅医療をインターネットで探して、

準備をされていた。

 

仏壇前でうずくまる父をみて、直ぐに、

僕らにお電話を頂いたのが昨日の午後。

 

昨夕、往診し、医者嫌いで病院嫌いの彼に、

入院を勧めてみた時の彼のお返事が冒頭の言葉。

 

頑ななところをみてると、なんだか自分の父を思い出し、

また、息子兄弟が仲良く、頑なな父親に一生懸命なのも、

羨ましく思いながら、息子さんらとお父様の在宅継続を考えた。

 

地域包括支援センターでの介護保険申請や、

ケアマネさんの準備、介護保険でのベッド、

ポータブルトイレ、等々の段取りと、

在宅医療、訪問看護のこの連休の動きを調整し、

本気のリビングウィルを支える為にマッハのスピードで、

うちの保健師さんと一緒に連絡を取りまくり調整した。

 

 

今日、血液検査結果を持ってもう一度訪問。

白血球が2万。炎症を示す値CRPが33。

普通の医者としての判断なら、入院治療なのだが、、、

 

お父さん、血液検査めっちゃ悪いねんけど、

入院してくれへんか?あかんか?

息子さんもお嫁さんも、夜中一人になるし、

すごく心配しておられるんやけど、あかんか?

 

要らん。

行かん。

ここでええ。

 

じゃあ、お風呂だけでもさせてえな。

床ずれできてもあかんしな、頼みます。

 

わかった。

 

今日は土曜日なのに、ケアマネさんも福祉用具さんも、

ここに来てくれてて、いろいろ調整に動いてくれた。

 

それでさっき、訪問入浴サービスから電話があった。

 

先生、入る前は、もう死ぬアカン嫌や、が、

お風呂してもらった後は、サイコーや!でした。

とのこと。

 

 

ザイタクは素晴らしい。

ACPは地域包括ケアシステムで守られる。

地域に素晴らしいチームがあるからこそ、

彼の本気のリビングウィルが叶えられる。

 

だから、今日も僕が動けたのは、

地域のおかげ、チームのおかげ、

そして、頑ななお父さんのおかげ。

要らん。行かん。ここでええ。

 

今日も、ありがとうございました。

やっぱり、ザイタクはやめらんない。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

 

 

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