眼見えるもんには見えへんもんの気持ちはわからんやろな。
そう話しながら、いつも決まってワインを飲まれている。
彼は、視力がほとんどないが、お一人暮らし。
娘姉妹はとっても美人だといつも自慢げに話される。
そんな眼の見えない彼は大切な奥さんの最期を救えず、
眼の見えないことを今も悔やまれ、心に深い傷がある。
先日、デイサービスの帰宅時、階段で転倒された。
職員が少し眼を離した隙に階段を踏み外してしまった。
5センチ大の頭部挫傷があり、自慢の美人の娘は遠方だが、
その夜タクシーで駆けつけ、タナカの指示通りの応急処置。
その甲斐あって、二次損傷は免れて、
翌日の往診時には、創部は概ね良好だった。
その日、ご本人の傍には、CDが。美人の娘さんが、
お父さんの大好きな津軽三味線のCDをご用意されていた。
そのCDを聴きながら、『高橋竹山』のお話を始められた。
『高橋竹山』は、津軽三味線の名人で、盲目の門付け芸人。
竹山の話を始めると、彼は見えない眼に涙を浮かべて話された。
眼見えるもんには見えへんもんの気持ちはわからんやろな。
ま、そやけど、まあええか、、って彼の言葉を聴きながら、
彼の本心に、少しでも近づきたいと思った。
また来ますね、と診察を終えて声をかけると、
また来てくださいね、待ってます。と返事され、
ゆっくりゆっくりこけないように歩きながら、
玄関まで見送ってくれて、手を振っておられた。
今日はなんでも相談所で、カンファレンス。
摂食嚥下障害の勉強を、みんなでした。
今日一番の学びは、この詩↓だった。

眼の見えない人は
眼の見える人よりも
見えるものがあるんですよ
おれたちは眼で見えないから
耳で読むんだ
三味線だって
眼で覚えるもんでねぇ
耳で覚えるんだ
眼が見えないのは
そりゃ不便だけど
しかし見える人がなんでも
眼にたよるのはどんなもんかな
人の気持ちってものは
眼が見えるからって
見えるもんでねぇ
高橋竹山
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