「頼むね。」に込められた想い。全てに対する信頼の言葉。

在宅医療は、在宅診療だけでは成り立たない。

心不全の終末期の患者さんを通して、学んだこと。

 

 

今日は、心不全終末期の患者さんの振り返りカンファレンス。

 

ご本人が旅立たれる3日前。奥様に仰られた。

 

「頼むね。」

 

市民病院の地域医療連携室のメンバーの一人が、

これが取り組んだ成果ですね。と発言してくれた。

 

この言葉を、ご本人が奥様に発せられたこと。

これが全てで、この言葉を導くことが出来た。

これこそが、地域包括ケアだったと思う。と。

 

ご本人が、大切にしてきたご家族に囲まれ、

ご家族が見守られる中で、穏やかに旅立たれた。

 

「頼むね。」に込められた想い。全てに対する信頼の言葉。

 

状態悪化時の入院中の病棟の看護師さん達の関わり。

外来通院時の病院医師や外来看護師さんの関わり。

病院の連携を支え、地域との橋渡しをしてくれた、

いついかなる時も丁寧だった地域医療連携室の看護師さん。

 

クリニック・病院間のタイムリーな連絡のうちの保健師さん。

在宅生活中の急変時の救急外来医師との電話相談連携。

訪問看護ステーション訪問看護師さんと在宅医との密な連携。

在宅側と病院側の全てを包括したスピーディーな情報交換。

 

どの場面でも、裏方に徹しながら、丁寧に、穏やかに、

サポートし続けてくれたケアマネージャーさん。

スピード感をもって動いてくれた福祉用具貸与業者さん。

介護保険区分変更時、配慮いただいた包括支援センターの方々。

常に連携しながら入浴を提供し続けてくれた訪問入浴サービスの皆さん。

 

そして、

 

なによりも、僕らの言葉に耳を傾け、最後まで信じてくれた、

ご家族、奥様、長女様、次女様、息子さん、そして、ご本人。

 

「頼むね。」の言葉は、これらすべてがあって発せられた。

 

最初の退院前カンファレンスでご本人が話してくれた。

「地域包括ケアシステムは、ここ三田に本当に存在するんですね。」

 

在宅医療の世界に身を置き、16年。

在宅医療は、在宅診療だけでは、決して成り立たない。

 

16年目にして、初めて、

地域包括ケアシステムの重要性を学ぶことが出来た。

 

彼は、長尾和宏先生の恩師だが、

僕にとっても、在宅医療の恩師だ。

 

本当の意味での地域包括ケアシステム構築に、

これからも、ここ三田で、邁進したいと思います。

 

奥村芳和先生、ありがとうございました。合掌。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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