二十歳の頃だったわ。私の兄にね、聞いたの。
兄、彼と同じ会社で、彼ね、当時の常務にね、
口喧嘩してね、ほんと、曲げないのよ主張を。
三時間もよ、常務に食って掛かって、ほんと、
兄がね、心配したのよ、彼、首にならないかって。
私達お付き合いしてたでしょ、住吉大社とか、
デートしてね、彼からも聞かされて、そのお話。
無職になったら、結婚できないでしょ、、、、
懐かしい想い出だわ。若過ぎたのよ、私達。

重度心不全で、不整脈も頻発し、いよいよも近い。
90手前の彼は、心臓に毛が生えるくらい図太い男。
ベッドで横になって、目を瞑って休みながら、
呼吸リハを兼ねた肩もみで気持ちよさそうに、
奥さんのお話を聴いていた彼にこのタイミングで、
大切なことを尋ねてみた。

お父さん、最後の場所、、どこがエエですか?
うーーーん、そこやそこ、、、そこ、気持ちエエ。
いやいや、肩もみの場所やなくって、しぬ場所。
え、、っと、、コイツしった場所かあ、、、住吉やな、、
ちゃうちゃう、死に場所!ですって。どこがええですか?
そんなもん家に決まっとるやないか、、当然や、、、
主張を曲げない彼のことをよく知る奥さんは、
あ、、、ちゃんと聞いちゃったって天を仰いだ。

先生、私、、不安で不安でしょうがないんです。
主人が死んでしまうと言うことに。だから、、、
ホントは、病院で、その時を迎えて欲しいんです。
だけど、曲げない主人知ってます。60年も一緒だもの。
分かりました。先生でもね、何でも全部すぐお電話するわ。
その時が来てるかわからないから、先生に決めてもらいます。
お電話しますから、よろしくお願いします。

彼は、嬉しそうにこのお話しを聴きながら、
穏やかにスースーって寝息を立て始めたので、
そっと、家を出た。こんなとても素敵なご夫婦。
今日も、ザイタクはスイートメモリーズだった。
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