患者さん本人のためなら、世界が僕を嫌いになっても。

先生、母のショートステイ中、

血圧が高いからって、もうね、

5日もお風呂中止になってて、

どうしたら良いでしょうか?

 

 

お盆のショートステイは、家族にとって大切だけど、

だいたい大きな施設は人員確保が困難な事が多くて、

マニュアル通りに介護もさらにベルトコンベアー化。

 

ちょびっと熱があってももちろん入浴中止様子観察。

ちょびっと興奮して血圧高くても入浴中止様子観察。

ちょびっと転倒して直ぐにレントゲン撮影様子観察。

場合によっては、主治医相談の上、診察を。となる。

 

誰のための医療だろう。誰のための介護だろう。

 

 

そこは暮らしを支える場所。人生を支える場所。

そこに在って欲しいのは医療ではなく真の介護。

 

 

老健で専任医師をしていたのは、

開業前でもう20年くらい前の話。

 

デイケアやショートステイや入所の方がおられるが、

どの方も病院治療中ではなく、在宅復帰に挑戦中か、

もしくは暮らしが安定しててお家で居続けたい方で、

お風呂入る前に、血圧と熱を測るなんて普通しない。

 

だから20年前だけど血圧と熱測定を全部止めにした。

そしたらなんとどうだろう。職員が利用者さん達と、

楽しい暮らしや人生の話を、沢山するようになった。

 

 

そして、本来の老健の役割、

家の暮らしを支援する事を、

出来るようになっていった。

 

でもそんな時、このチャレンジの裏方に医療者も居て、

責任問題等ややこしい世の中の対応があったとしても、

彼らがしっかり対応、多くの方の生活が守られていた。

 

 

あれから20年も経った施設介護現場で、

いまだに、熱も血圧も測ったりしてる。

ここにはこんな事より大切な事がある。

 

20年間に後退したのは医療だけではなさそうだ。

挑戦なき現場は衰退する。そこに尊厳などない。

 

患者になって『暮らし』を失い初めて知る。

こういう世の中では当然家に帰れなくなる。

 

 

 

患者さんの尊厳を守りたくて、

世界が、僕を嫌いになっても、

その血圧と熱の測定について、

僕は異議を唱え続けたい((笑))。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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