つづき②『介護離職』

母の手術が、入院3日後と決まり、バタバタとした。

手術の同意書や身の回りの準備。

 

全身麻酔での手術なので、

もしものときに備えて、

銀行通帳やら貴金属、時計、着物はこうだああだ。などなど。

あそこにある、ここにあると言いたい放題。

そんなことまで、急に言われても、ホンマにわからん。

そもそも実家の中は、20年前の学生時代までさかのぼるほど、

触ったことがない。

普段はほっぽりだしてるくせに、急に慌てだす。

 

オカンは「遺言書も書かないとあかんかな?」

知らんがな。そんなことはやっとけよ、今までに。

と心の中でつぶやいた。

 

人生会議なんてもんは、

存在すら知らない状況だ。

 

どうなるオカン?

どうなる手術?

どうなる家族!?

どうなるタナカの介護離職??

 

いろいろ考えた手術中。

 

オヤジは「俺は仕事やし、ここにおる必要ないやろ」と言い放つ。

しょうがなく、手術室前で待機。

手術中は、院内に家族が居なければいけないのだが、

オヤジはおかまいなしに、自分の歯科診療所へ。

 

オレ、三田で在宅医??だったよな・・・・・。

24時間365日大阪のオカンの主治医????????

 

いろいろと悲しい気持ちになってきた。

 

タナカの家は、みんな無責任だ。

オヤジも弟もオカンの命より自分の仕事らしい。

オレが長男だから責任が伸し掛かるのか???

 

手術が無事終わり、オヤジが午前の診察を終えてやっと病院に戻ってきたから、

「ちゃんとオカンのそばにおったってや、流石にオレは三田に戻るで」

と言い残し、病院をあとにした。

 

夜、オカンから電話。

オヤジは、30分ほど面会した後、歯科診療所の午後診に行ってしまったらしい。

歯科診療所を休診にしないことに、こだわっていた。何をこんなときにこだわる必要があるのだろうか・・・。

 

手術当日の夜、オカンは、

携帯電話所有断固拒否のオヤジの自宅の電話にかけることなく、

病院のナースコールを押すこともなく、

三田で看取りをしているタナカに嵐のようなテレフォンコール。

 

なんかの深夜のテレフォンショッピングかと思うくらい、

一晩中、何かに付けてタナカの携帯を鳴らしたのだった。

 

オレはそんなに特別セールはしてないぞ。

 

介護離職、そりゃするわ・・・・。

 

つづく。

 

 

 

 

 

 

 

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