つづき⑦『介護離職』

リハビリを機能訓練から生活再建訓練へ。

これは本人の意識の転換が大切だ。

気持ちを病院から生活空間へ移すことが一番だ。

 

何がいいかと必死に悩んだ。

生活再建こそが介護離職回避作戦の生命線。

 

2つ思いつき、早速実行した。

 

1つ目は、外食だ。入院中に外出許可をとって実行した。

食いしん坊の母にはぴったり。三田のビアガーデンに連れ出してみた。

そうすると、病棟訓練中の歩行器、手押し車や杖、外出用のシューズ、洋服、化粧、おトイレの問題・・・

さらに、そこのビアガーデンは、バイキング形式で、食事を取りに行かなければいけないので、

あれも食べたい、これも食べたい、自分で選びたい、お父さんにもこれを取って行ってあげたい・・・

お土産も欲しい、遠くの次男にもお土産が欲しい、孫にはこのお菓子、そうそう忘れてたけどあんたにもコレ・・・

 

2つ目は、墓参りだ。

母の実家の墓参りは、ここ3年ほどタナカに任せっきりだった。

一緒に行ってみると、お墓までの砂利道、墓地でのおトイレの問題、お水やお花のお供えの仕方、お線香の準備・・・

 

何から何まで、考えていなかった。

考え始めた。母自身で。

そして、今後主介護者になるはずの父親も、

母の動作を見る機会になった。

彼も考える機会になったはず。

 

多少の自覚は芽生えてきたのではないか。

夫婦でやっていくことの大変さに気付き始めたことだろう。

 

その後、

病棟の廊下も、ちゃんと歩き出した。

積極的に何周も何周も歩き始めた。

着替えの練習も、トイレの練習も、入浴動作の練習も、

日常生活動作訓練に積極的になってきた。

「マッサージは、もっとしてほしいけどね」

この言葉はさいごまで変わらずだったのだが・・・。

 

サイコロジカルヴィクトリー。大切だ。

 

やっと始まった。介護離職回避作戦。

 

まだまだ、つづく。

 

 

 

 

 

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