つづき⑩『介護離職』

リハビリ病院の訓練3ヶ月目。

 

この頃になると、日常生活動作も入院の癖が出てくる。

つまり、病室環境に慣れてきてしまう。

そして、訓練に好き嫌いが生じてくる。

たいてい嫌いな訓練が、自宅復帰したときに必要となる訓練なのだが。

しんどいことはやろうとしなくなる。

いくら説明しても練習してくれない。

しかしながら、これはもう限界。

自宅復帰後に、困る場面に直面してもらい、気付いてもらうしかない。

つまり、行き当たりばったり、とした。

 

正直なところ、タナカ自身が音を上げ始めていたのも事実。

三田→大阪→リハビリ病院→看取り→リハビリ病院→三田みたいな繰り返しは限界に。

 

母の身体機能の改善は十分に図れ、

骨折前以上の歩行能力にもなってきていたので、

これ以上の入院を引っ張る必要はなく、

別宅の大掃除ダスキン完了・家具電化製品購入・搬入後、

退院ということにしてもらい、

ちょうど、90日間のリハビリ入院で、

無事?別宅復帰となった。

 

 

院内の訓練では、絶対的に不足するのは、持久力。

これは、もう思い切って退院するのが一番だ。

持久力は、在宅生活において改善が見込まれる。

自分自身で行う動作が増えるためだ。

あとは、

リハビリ入院で機能改善した歩行をどんどん行って、あちこちに出かけ、

覚えた日常生活動作を、お家で実践するのみ。

 

在宅生活再開にあたり介護保険導入を勧められ続けたが、

ここの山は越えられないまま退院となる。

「ぜっったいに、使いません、介護保険は!施設に入れられてしまうわ」

ここの理解は、結局変えられないままだった。

 

実際のところ、

超・早期の素晴らしい骨折手術、

素晴らしいリハビリ訓練、

良いタイミングでの確定診断、内服治療開始、

そして、

なにより素晴らしい息子、

これらが功を奏し、本人にとっては、めでたく在宅復帰となる。

 

一方、このときには、

身体的依存より、精神的依存のほうが大変であると、

タナカには、やっと、、、なんとなく、、、、わかり始めていた、、、、、

精神的依存による『介護離職』の芽が徐々に出始めていたのだった。

 

しかし、どうすることもできないまま、

大阪と三田との二重生活継続が決定的になっていった。

 

つづく。

 

 

 

 

 

 

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