学会発表記録

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老年期の健康指標としてのフェイズアングル【副院長 上田 康夫】

老年期の健康指標としてのフェイズアングル

 年齢が進むにつれて、だんだんと体の動きに俊敏さがなくなり、部屋のちょっとした段差に躓いたりしがちになりますね。また若い頃に比べて食べる量が減り、体力の低下を感じる機会が多くなります。このような年齢とともにだんだん身体が弱く「虚弱」になっていく状態は、最近では「フレイル」という医学用語で呼ばれるようになり、高齢者医療の分野で注目されています。

日本在宅医療学会もりおか大会の主な学会発表と論文この「フレイル」は現在、①低栄養、②疲労感、③生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤筋力の低下といった項目で評価されるのですが、煩雑な計測や主観的な要素が多く、在宅医療の現場での評価には使われていません。しかし、皆さんも感じておられるように「フレイル」は単に年齢だけで決まるものではないことから、その程度をできるだけ簡便に、かつ客観的な数値で表すことのできる指標が求められています。

 現在、私たちはこの「フレイル」の新しい指標として、Phase angle(PA)という計測値を応用することを目指しています。この指標は一般家庭で使われている体脂肪計と同じ原理を用いたものですが、ポータブルに携帯できる小型器械で、簡単に、安全に測定できるもので、苦痛や副障害なしに極めて短時間で測定できる特徴があります。こうしたPhase angle(PA)の在宅医療への応用に関しては下記のような医学会で報告を行っており、今後の在宅医療の発展、充実に寄与していきたいと考えています。

主な学会発表と論文

1) 第18回日本病態栄養学会 一般演題(於京都 2014年1月11日)

在宅高齢者のフレイル関連病態評価におけるPhase Angle 測定の有用性

2) 第16回日本在宅医学会大会 一般演題(於浜松 2014年3月1日)

在宅高齢患者の病態評価におけるPhase angle ( PA ) 測定の臨床的意義
-ポータブル体組成測定器Bioscanを用いた検討-

3) 第36回日本臨床栄養学会総会 一般演題(於東京 2014年10月11日)

在宅高齢患者の栄養・病態評価へのBioelectrical Phase Angle の応用

4) 第17回日本在宅医学会大会 一般演題(於盛岡 2015年4月24日)

Phase Angleは在宅高齢患者の栄養状態、日常生活動作そしてフレイルを反映する

5) 日本臨床栄養学会雑誌 Vol.37 No.2 2015 掲載
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(原著論文)Phase Angleは在宅高齢患者のフレイル指標として有用である