『介護離職シーズンⅡ』第9話

断捨離。

いろいろと溜め込んでくると、

カラダもココロも、動きが鈍くなる。

しかもそこにこだわるあまり、

大切なことを見失う。

 

実家への在宅復帰を目指すにあたり、母の断捨離を考えた。

実家での老夫婦の生活は、

できるだけシンプルでなければ成り立たない、

とタナカが勝手に思ったからだ。

 

 

転倒骨折前は、

実家と歯科診療所は、

母がきりもりしていたので、

何でもかんでも捨てられず、溜め込んでいた。

 

健康に良い話が新聞記事にあると、この記事とっておいて後で読もう。

下着や靴下が破れると、後で縫って使おう。

食べかけのお菓子があると冷蔵庫へ。後で食べよう。

書き終えたボールペンや短くなった鉛筆や割れてしまったものさしは、なんとなく捨てられない。

毎年来る年賀状や色々なカード払いの明細の封書や、百貨店の催し物のハガキ。

毎週やってくる週刊雑誌は、ずっと整理を先延ばしで、ホコリがかぶるまで山積み。

昔おばあちゃんからもらった手縫いのジャケットは、山のように洋服ダンスに並んで、何年も着ていない。

タンスに入りきらない革のバッグは部屋の絨毯の上に、重ね置き。

外反母趾に良いからといって、次から次へと新しい靴が靴箱に。

今更履くのは難しいロングブーツも何本か。

新しく始めた趣味の三味線、そのお稽古のために着物が必要。

着付けの練習ごとに、増えていく沢山の高級な着物。

 

もうきりがないからこのへんで。

 

実家での母の様子を調べてみたら、

タナカの生活も概ね同じ様相であることに気付いた。

タナカも全く断捨離が苦手だ。

母に断捨離を強いる前にタナカが出来なければやり方も伝えられない。

これは、タナカ自身の『断捨離』が先やな、、、、、

 

母にとっては宝の山。タナカのお部屋も宝の山。

そんな実家はプチゴミ屋敷。

タナカのお部屋もPGY(プチゴミ屋敷)。

 

母の断捨離は、きっと、

タナカ自身の断捨離である、と、

やっと気付いた。

 

この、タナカの断捨離が、実は一番の難題であったのだった、、、、、、、。

 

つづく。

 

 

 

 

 

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