つづき④『介護離職』

母の三田でのリハビリが始まった。リハビリ入院の話の前に父親の話。

 

一人暮らしが急に始まった父親の問題が起きてくる。

身の回りの生活援助・食事の問題・歯科診療所の経営。

 

父親は、昔気質の典型的な歯医者だ。

歯科診療以外は、全く何もしない。母が周りの全ての事をやってきた。

 

手術を受けた病院に母が入院中は、

歯科診療の仕事帰りに、父親は母親の顔を見に行き、

適当に話した後は、スーパーでお惣菜を買って帰る。

だいたいこの繰り返しで過ごすことができた、1ヶ月。

 

タナカも病院のお見舞いの後は、実家に寄るようにしていたので、

家の中の混乱は、最小限に留めることができた。

掃除は寄ったときに行い、洗濯モノは三田に持ち帰ってタナカのクリニックで。

 

一番の問題は、お金の管理だった。

すべて母親がしていたので、その管理がこちらにのしかかった。

歯科診療所の経理やら、生活の光熱費の支払い、父親の食費等の準備に至るまで、

あちこちの銀行に行って母親の代行をしなければいけなかった。

本当にデリケートだが大切な問題、お金の管理。

 

三田のリハビリ病院に母親が移ると、もっと問題が大きくなる。

というか、問題が潜在化する。

 

タナカ「大丈夫か??」

オヤジ「ああ、大丈夫や」

男同士の会話はこんなもんだ。

 

実際には、母親に言われ週1回程度は実家も見に行くことになる。

 

洗濯物が異様に少なかったり(多分あまり替えていないのだろう・・・)

お菓子の袋やカップ麺のゴミが増えたり、

賞味期限の切れたものが冷蔵庫の中にたくさんあったり、

実家の中に入らせるのを嫌がったり、、、、、

家の中が、かび臭くなってきたり、タバコ臭くなってきたり、、、、、

いろいろなことが、見え隠れしてくる。

 

そもそも、父親の生活スタイルを知らない。

どう関わっていいかわからない。

 

親の生活のサポートにおいて

親子であることが、逆に、マイナスとなることがある。

お互いに甘えやワガママが多くなり、

どんどんおかしい関係になってしまうのだ。

 

介護保険サービスの利用や地域コミュニティの相談窓口に行くことなど、

どこかのタイミングですべきだったのだろうが、

大阪の状況がわからないタナカは、どんどんと抱え込んでいった。

インターネットで、もっと情報を集めても良かったと思う。

 

いつも患者さんたちに話していることが、

自分の身に起こると何もできないことがよくわかった。

 

介護離職は、こうして、加速していく気がする。

 

つづく。

 

 

 

 

 

 

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