リハビリ病院から退院した日に
確認しなければいけないことは多い。
三田でのリハビリだったので、
外泊等での確認がほとんどできていなかったからだ。
普通は、外泊を何度か行い退院する。
タナカ側の問題(ダスキン清掃・家具等搬入など)で、
別宅老健の準備ができていなかったので、
退院日に多くの動作の確認をしていった。
トイレ動作の立ち上がりはなんとかクリアできたが、
次は、活動量の維持、そして、可能ならば身体機能の改善をどうするかだ。
何事にも積極的に、そして、安全に、離床し歩いてほしかった。
せっかくリハビリ病院で訓練をしっかりしていただいたのに
帰ってから、動かないようでは、すぐに筋力が落ちてしまう。
母の場合は、一日動かなかったら、
一週間分くらいのリハビリが必要なくらい、すぐに筋力が落ちる。
そうすると、また転倒→骨折→入院のループにハマってしまう恐れがある。
しかしながら、これ以上、父母のために捻出できる時間は、
正直タナカにはなかった。限界だった。
独居生活をさせながら、身体機能を落とさないことは至上命題。
活動量の確保は、離床がポイントだ。
ベッドから容易に離床できれば、活動量も増える。
ベッドからの立ち上がりは、
高さを変更できる介護ベッドを用意したので、
調整すれば良い。
退院月は、離床を第一のテーマにしたので、
ベッドの高さを50センチメートルに設定しておいた。
他のどの場所よりも、高さが高いため立ち上がりやすくなる。
ベッドからの立ち上がりがスムーズに行くと、
離床が進み、活動範囲が広がる。
身体機能の維持が期待できる。
母は、
「ベッド(高さ50cm)からはすぐ出れるのに、トイレ(高さ42cm)してからベッドに戻ってくるのには、時間がかかるわ」
タナカの作戦成功だった。
精神面においても、実は、立ち上がりは非常に重要となる。
立ち上がれていたものができなくなると不安が強くなり、
逆に、立ち上がりがスムーズにできれば、自信をつけていく。
サイコロジカルヴィクトリーが常に必要となる。
独居生活に自信が必要。
生きていくには希望が必要。
活動量の確保にくわえ独居での安全を考慮して、
屋内は、シルバーカーを使うことにした。
生活の場面での使用がなかなか徹底されなかったが、
何度も使用の重要性を説明し理解してもらうようにした。
「こんな恥ずかしいものはワタシには必要ない」
「一人でコケて起き上がれるんか?転ばぬ先の杖やで」
「前にリハビリ病院で使わんと歩いて、コケたら、すぐに看護師さんが来てくれたで」
「これからは、きてくれへんで」
「アンタが泊まってくれたらええやん」
「今日は退院したとこやから泊まるけど、明日からは無理やで」
「お父さんに泊まってと頼んだら、なんでやねん、って言われたから、あんただけやねん」
「ムリムリ、三田の患者さんほっとくわけにはいかへんから」
「ワタシもアンタの患者やんか」
「患者さんやったら、オレの言う事ちゃんと聞いてシルバーカー使ってよ」
後日、半年で唯一、1回転倒した時は、シルバカーを使っていなかった。
「これからは必ず使います、ごめんなさい」
母はそれからは、ほんのちょっとだけ真面目にシルバーカーを使うようになった。
骨折しなくて本当によかったです。
退院日、まだまだ三田に戻れない。
つづく。
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